ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

アニソン魂⑥〜「やつらの足音のバラード」

ムー大陸です

 

私のお気に入りのアニメソングを紹介するアニソン魂のコーナーです。

今回は、

 

「やつらの足音のバラード」

 

です。

 

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これはアニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングテーマです。「はじめ人間ギャートルズ」は園山俊二氏の漫画で、原始人の家族を描いた作品。主人公はゴンという少年、彼にはドテチンというゴリラの友達がいる。お父さんは美味そうに酒を飲み、マンモスの肉を食べる。お母さんは赤ん坊をたくさん背負って子だくさんです。昭和の家族を原始人の姿で見せたギャグ漫画です。

 

その原作者である園山氏が作詞、作曲はムッシュかまやつひろし氏です。かまやつ氏の代表曲の一つですから、ムッシュ繋がりでこの曲に辿り着く人もいるでしょう。カントリーを感じさせるおおらかな雰囲気と美しいメロディ。アレンジもスライドギター、リコーダーかピッコロか、笛がアクセントでいい、のどかな風景を想像します。かまやつ氏には名曲いくつかありますが、私は最高傑作に推したいですね。

 

ただですね、その最高の曲が霞むほど素晴らしいのが園山氏の詞です。原作者の意気込みというか、それとも彼のセンスなのか。

 

「なんにもない なんにもない 

全くなんにもない

生まれた 生まれた なにが生まれた 

星が一つ 暗い宇宙に 生まれた

星には夜があり そして朝が訪れた

なんにもない大地に ただ風が吹いてた」

 

これが一番です。アニメで流れるのはここだけです。これでは正直何の歌だか分かりません。

分かるのは宇宙に星が生まれたことだけ。ところが、二番、

 

「やがて大地に 草が生え 樹が生え

海には アンモナイトが 生まれた

雲が流れ 時が流れた 流れた

ブロントザウルスがほろび

イグアノドンがさかえた

何にもない 大空に ただ雲が 流れた」

 

これが衝撃の展開。何と一番で生まれた星は地球でした。そして、地球誕生から一気にアンモナイト、恐竜へと飛びます。地質時代で言うところの冥王代から古生代デボン紀、遂にはジュラ紀白亜紀へと進み、地球に水が満ち生物が溢れる様が描かれる。何と言う歌詞。

三番へ、

 

「山が火を吹き 大地を氷河がおおった

マンモスのからだを 長い毛がおおった

なんにもない 草原に かすかに

やつらの足音が 聞こえた 

地平線のかなたより

マンモスのにおいと共に 

やつらがやってきた やってきた」

 

となります。

火山の噴火と氷河期による生物の絶滅。昨今では隕石の衝突説も有力ですが、そこはこの際、どちらでもいいのです。そして、新生代に至り、「やつら」がやって来るんです。「やつら」、もうお分かりですね、ヒトです。この歌のタイトルは「やつらの足音のバラード」です。つまり、はじめ人間の足音を歌うため、地球誕生からヒトの登場までを一気に歌詞にしたんです、スケールめちゃくちゃデカいです。「はじめ人間ギャートルズ」のテーマ曲としてこれほど相応しいものがあるでしょうか。他に類を見ない名曲中の名曲です。

 

この歌を歌っている歌手は ちのはじめ という方です。このクレジットは歌の内容やアニメに合わせたシャレでしょう。普段は若子内悦郎という名前で活動していた人です。例えば、有名なCMソング「日立の樹」とか、時代劇「大江戸捜査網」EDテーマ「ながれ橋」などを歌ってます。一部歌詞の乗せ方が不自然、と言うか、私と違う感じなので、馴染みにくいとこもあるんですが、全体の素晴らしさに比べれば、小さな問題です。

 

謡曲やフォークなどからはまず生まれないであろう歌詞、何でも歌に出来るアニソンの神髄とも言えるオリジナリティが感じられる一曲、そういう意味ではアニソンの中のアニソンだと思います。

それでは、また。

 

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「あやかし」

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「死ぬまで生きてくんです」

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