ムー大陸です
私が好きなアニソンをオススメするアニソン魂です。始めたばかりのシリーズなので、連続で行きたいと思います。
今回のテーマは、
「草原のマルコ」
です。
これはアニメ「母をたずねて三千里」の主題歌です。イタリアからアルゼンチンに出稼ぎに行った母親が音信不通になったため、9歳の少年が探しに行くというお話です。旅の途中で何度も危機に陥りますが、優しい人達の助けを得て、成長しながら母の元へ辿り着きます。とても感動的な作品です。本作品は宮崎駿や高畑勲も関わっており、今なお名作の呼び声が高いです。
その主題歌もなかなかな作品になっています。
作詞は深沢一夫氏。本作のシナリオ作家です。作詞家ではありません。一番の歌詞を見てみましょう。
「はるか草原を ひとつかみの雲が
あてもなくさまよい とんでゆく
山もなく谷もなく 何も見えはしない
けれどマルコ おまえはきたんだ
アンデスにつづく この道を
さあ出発だ 今 陽が昇る
希望の光 両手につかみ
ポンチョに夜明けの 風はらませて
かあさんのいる あの空の下
はるかな北を めざせ」
タイトルは「草原のマルコ」ですから、アンデスへ向かってポンチョを纏い草原を歩くマルコを見事に描いてます。実はイタリアからアルゼンチンまでは船旅です。ここは無視です。アルゼンチンのブエノス・アイレスに着いた後、母親はアルゼンチン北部のトゥクマンという街にいるとの情報で、そこへ向かいます。主題歌はそこを描いていると思われます。当然、アルゼンチン国内の移動ですから、直接アンデス山脈を目的地にしてはいません。草原はアルゼンチン南部に広がるパンパをイメージしていると想像します。ただ、アルゼンチン北部を更に行けば、アンデス山脈が横たわります。なので、「アンデスへ向かう」は多少オーバーではありますが、嘘ではありません。原作のタイトルも直訳すると、「アペニン山脈からアンデス山脈まで」です。ただ、歌だけを聴くとアンデスを越えて北へ向かい母親に会うようなニュアンスを感じてしまいます。作詞者=シナリオライターですから計算づくでしょう。嘘ではないが、ちょっと盛って、その分この歌をカッコよくしたのです。特に1番は完璧です。出だしの情景描写、そして、「さぁ、出発だ」からのマルコの決意。まるでこれからアンデスに挑みそうでしょう?まぁ、山も谷もないって歌詞にあるんで、そうじゃないんですけど。
しかし、2番になるとテンション落ちます。2番の歌詞です。
「小さな胸の中に きざみつけた願い
かあさんの面影 もえてゆく
風のうた草の海 さえぎるものはない
そしてマルコ おまえはきたんだ
かあさんをたずね この道を
さあ出発だ 今 陽が昇る
行く手にうかぶ 朝焼けの道
ふくらむ胸にあこがれだいて
かあさんに会える 喜びの日を
はるかにおもい えがけ」
「かあさんの面影」「かあさんをたずね」「かあさんにあえる」ちょっと母さん使い過ぎです。「母をたずねて」とはいえ、ここまで母さん連発だとしつこいですね。1番が完璧だっただけにちょっと惜しい気がします。「かあさんをたずね」は「アンデスにつづく」のまま無理に歌詞変えなくても良かった。また、最後の2行も1番のままでいい。「はるかにおもいえがけ」はさすがに無理があると思います。1番の「けれどマルコ」
を「そしてマルコ」にしたのだから、「おまえはゆくんだ」とかにしても良かったかなと思います。
ストーリー的には実際アンデス山脈は関係無いんですが、歌詞に盛り込みました、カッコよく。そして、曲においても更に盛ります。曲はフォルクローレです。厳密には本物と異なるところはあるにせよ、雰囲気は充分です。アンデスだからフォルクローレ、単純ですが、大事です。アニメを見る子供たちにアンデスのフォルクローレと言う音楽を聴かせようとする志高い曲作りです。必ず伝わるはずです、普通のアニソンと雰囲気が違う、一体これは何だろう?、そう思ってくれればしめたもの。その時でなくても、いつか気付いてくれるでしょう。そんな音楽教育的姿勢が伺えます。作曲は坂田晃一氏。歌謡曲のヒット曲も数多くある名人です。この人は特にドラマとかの劇伴が素晴らしい。
この「母をたずねて三千里」の後継番組は「あらいぐまラスカル」でした。こちらはアメリカが舞台、主題歌はバンジョーが鳴るカントリーでした。明らかに番組制作陣は子供たちへ民族音楽を伝えようとしてます、素晴らしいですね。
まぁ、実際にはアンデスは遥か彼方で、旅はアルゼンチン国内ですから、タンゴの方が相応しいのかもと思わなくはないですが、そこは目をつぶりましょう。もちろん、アルゼンチンにもフォルクローレはありますから。
それでは、また。
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