ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

産業ロック その1

ムー大陸です。

 

前回までキャンディ・ポップの話でした。

それでは、今回からは、もう一つの軽蔑的なジャンル名、産業ロックについての話をしましょう。産業ロックは日本における呼び名で、海外におけるアリーナロックスタジアムロックという呼び名に通じるところがありますが、大きな違いがあります。売れているから、アリーナやスタジアムを埋め尽くせる、それほど人気があるという意味で、海外ではそういう名称が使われますが、直接的に音楽性とは関係ありません。つまり、ハードロックでスタジアムロックということがあり得るわけです。例えば、ボン・ジョビというバンドをウィキペディアで調べてみると、そのジャンルにはハードロック、スタジアムロックと記載されています。

一方で、産業ロックはどうでしょう。これには売れているという捉え方以外に、「売れ線狙い」「売れればいい」という批判的な意味が強く含まれているのです。すなわち、売れるためにフックの効いたサビや広く受け入れられそうなサウンドを作っているので、その音楽性は明確ではないのです。そもそも、明確にハードロックなら、ハードロックと呼ばれるのであって、そこがあやふやだから、産業ロックと揶揄されるということです。つまり、ハードロックで産業ロックはあり得ないというのが私の解釈です。

 

その明確ではない産業ロックではありますが、いくつかの特徴を見出し、個別のバンドを探っていきたいと思います。次の5点が私が考える主な特徴です。

サウンドの特徴が薄まっている

これは上記に通じるものです。受けのいいサウンドを作ろうとするが故に、一つのジ  ャンルが持つ尖がった部分が和らげられているのです。ハードロックはハードであるから、ハードロックなのですが、そのハードな部分を少し和らげ、万人受けを狙う。

②白人バンドである

③ルックスに華がない

④テクニックは抜群

⑤ごく一部の例外を除いて、ヴォーカルに顔がない。歌もハモリも申し分ないが、あまり声を聴いて、顔が思い浮かぶヴォーカルではないという意味

 

私が産業ロックの最大の特徴と感じるのは①です。ここをもう少し詳しく。

産業ロックもキャンデイ・ポップと同じく、主に2つの系統があります。それはプログレッシブ・ロック系とハードロック系です。そして、各々プログレ色、ハード色を薄めて産業が出来ているのです。つまり、産業ロックのバンドたちは、結成当初、あるいはかつてはプログレバンドやハードロックバンドだったということです。では、なぜ彼らはプログレやハードロックから転換したのでしょう。はい、もちろん、売れるためですね。だから、産業ロックという批判は的を射ているとも言えます。

70年代プログレバンドとしてやっていて、売れなかった、あるいは、解散してしまったなどの事情があり、80年代に入って、彼らも相応に年を取り、丸くなる。そして、生活のことも考えて売れたくなるというのも無理はありません。プログレバンドとして成功したピンク・フロイドやイエスでさえ80年代はある程度ヒット寄りになっていたし、現に全米1位のシングルを出しています。ジェネシスはポップになったし、元ジェネシスピーター・ガブリエルもヒットを出しました。プログレと言って、1曲20分も30分もあるものを演奏して得意になっていたのは若いころのことで、彼らは良くも悪くも大人になったのです。

そんなバンドは大体が白人バンドでした。ブラックでプログレとかハードロックって無いですよね、思いつきません。そして、もちろん、テクニックは抜群です。プログレもハードロックもテクニックがなきゃ出来ない音楽です。また、バンド自体がそれほど売れなかったとしても、スタジオミュージシャンとしてその腕を買われていた人間も多いでしょう。一方で、ルックスに華がないのは仕方のないこと。そこら辺を売りにはしていないので。歌については個別のバンドに差がありますが、こちらも演奏と一緒でよく通る声と奇麗なハーモニーがほとんど。しゃがれ声などありません。ただ、どれも似ている印象が強いのです。産業ロックのヴォーカル同士は割と近いと思います。

 

さて、具体的にはどんなバンドがいたか?

前置きが長かったので、多くは次回に回しますが、今回は代表的なバンドを一つ。

TOTOです。皆さんご存じだと思いますが、トトと読みます。トートーではありません。彼らは上記すべての条件に当てはまります。ただ、彼らは元々、プログレやハードロックをやっていたバンドではなく、最初から売れ線を狙って結成された名うてのスタジオミュージシャンのバンドです。マイケル・ジャクソンのアルバムなどでも弾いていたメンバーがいたはずです。数多くのトップミュージシャンのバックを務めてますから、テクニックは申し分なし。また、売れるサウンドのノウハウもしっかり備えていたのでしょう。ヴォーカルは奇麗だが、特徴なし、曲はハードでもなく、プログレでもなく、当時のAORのような都会的なサウンドに仕上がっています。売れても不思議はありませんね。しかし、しかし、しかし、私はあまり好きではありません。私は産業ロックすべてを軽蔑してはいません。むしろ、商売でロックをやっているのだから、売れようとして何が悪いとさえ思います。だから、産業ロックの中でも好き嫌いがあります。残念ながら、私はTOTOは苦手ですね。もちろん、私の周囲には好きな人はいっぱいいます。あなたはどうですか?

 

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