ムー大陸です
前回、前々回に続いて化粧品CMの世界の3回目にして最終回です。前回は1983年のキャンペーンまで話しました。そこまでがある意味化粧品キャンペーンの絶頂期でした。この後変化が訪れます。
1984年キャンペーン
春 資生堂「くちびるヌード」高見千佳
だね」中原めいこ
この年が大きな転換点です。カネボウが松田聖子氏を春秋に起用しました。従来キャンペーンはモデル、キャッチコピー、CMソングの三位一体で成立していました。ここで旬のアイドルを起用することによって、モデルとCMソングのシンガーが同一となります。資生堂は依然として微妙な線を狙っている感があります。ただ、松田氏は強力です、飲み込まれてしまいそうです。
1985年キャンペーン
夏 カネボウ「にくまれそうなNEW フェイス」
吉川晃司
CM動画無しです。
アイドル化現象は一旦は収まった様に見えます。もちろん、ヒット曲を出すのが目的ではなく、化粧品を売るのが目的です、この時点では試行錯誤が残ってるように感じます。いずれにせよカネボウに軍配でしょう。
1986年キャンペーン
春 カネボウ「くちびるNETWORK」
夏 資生堂「BAN BAN BAN」KUWATA BAND
夏 カネボウ「ちょっとやそっとじゃCan't Get
Love」中村あゆみ
秋 資生堂「ツイてるね、ノッてるね」
秋 カネボウ「ノーブルレッドの瞬間」
遂に資生堂がアイドル起用に踏み切りました。春秋に中山美穂氏が登場です。カネボウは国生さゆり氏。大きく三位一体の手法が崩れました。この年はやはり資生堂有利。アイドル起用は効果ありか。
1987年キャンペーン
この年実はヒットらしいヒットがありませんでした。カネボウが春に小泉今日子氏を起用した以外は全て従来の様な手法で行い、アイドル起用は控えられた結果です。アイドル効果は大きいと判断に至ります。
1988年キャンペーン
夏 資生堂「GO AWAY BOY」
CM動画無しです。
秋 カネボウ「MUGO・ん...色っぽい」
カネボウは春夏秋のキャンペーンでアイドル起用。それも全て異なるトップアイドル。従って、モデル=CMソングシンガーです。資生堂の秋の今井氏もモデル=CMソングシンガーです。
この年はアイドル効果でしょうか、ヒット曲も生まれました。
1989年もキャンペーンは続きしたが、事実上88年で終了したと考えます。
84年の松田聖子氏の登場がアイドル起用の先鞭なのか、一時的なものなのか判断に迷うところですが、85年には通常に戻ります。なので、その時点では企画の一環だったと思います。しかし、86年以降再びアイドル起用に拍車がかかります。
恐らく、CM自体の主流が60秒から15秒へ変化した事が大きく影響していると考えます。60秒を基本としていたからこそ、三位一体の演出で雰囲気を作り出せていたが、最初から15秒を基本にするとそれが難しい。よりシンプルにアイドルによる見た目のインパクトを重要視する方向へ傾きました。
楽曲を売りたいアーティスト側からしても、15秒CMはタイアップの相手として効果に疑問があるし、魅力が乏しいです。この後、彼らのタイアップ先はTVドラマの主題歌などの方が有力となっていきます。
随分と駆け足で見て来ました。
全体的に見れば、化粧品キャンペーンは日本の音楽業界へ大きく貢献したし、いくつもの名曲を世に送り出しました。資生堂とカネボウの戦争は正に引き分けと言っていいと思います。ただ、個人的にはカネボウ優勢としたいです。また、数ある名曲CMソングの中から随一を選ぶとしたら、
です。
それでは、また。
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「カラキリクルコロ」
「下剋上」
「春に死のう」