ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

化粧品CMの世界〜資生堂VSカネボウ10年戦争①

ムー大陸です

 

 

今回は化粧品のCMソングの歴史、それも資生堂カネボウの熾烈なキャンペーン戦争にスポットを当てて、その宣伝を彩った楽曲を取り上げていきたいと思います。

 

諸説ありますが、化粧品メーカーが大々的に季節ごとのキャンペーンを行い始めたのは1970年代中盤。

戦後の復興期を経て、もはや戦後ではないと経済白書に書かれたのは1956年のこと。そして、日本はその後、1973年まで空前の高度成長期を迎えます。つまり、1970年代中盤には日本は豊かになり、多くの国民は衣食住足りて、贅沢品に金を使う余裕が生まれるようになります。おしゃれ対しても同様です。この頃から化粧品メーカーは積極的な広告宣伝活動を展開するようになります。TV CMはその中でも影響力の大きな重要な媒体でした。

化粧品メーカーのキャンペーンにはパターンがあって、主に春は華やかな口紅、夏は暑さや汗に負けないファンデーション、秋はシックに目元、冬は大きなテーマはなし。小さなキャンペーンもしくはキャンペーン無し。

そのキャンペーン毎に、

①モデル

②キャッチコピー

③CMソング

を用意し、TV CMを製作します。

 

それまでのCMは商品を連呼するシンプルなものでした。それが徐々にイメージを大事にするCMが一般的になって来ます。CMソングに関して言うと、一つのキャンペーンとして、CM用に歌詞を変えたりすること無く、キャッチコピーに基づいて化粧品CMとして世に出たのは1976年の「揺れるまなざし」でした。

これも諸説ありです。1974年に「赤い花が咲いた」というCMソングを資生堂は使ってレコード化もしていますが、まだ大々的なキャンペーンというほどではないとも言われています。私は「赤い花が咲いた」が原点と考えています。ここは「一説には」と言うところで勘弁して下さい。

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1976年資生堂秋のキャンペーン

真行寺君枝

②ゆれる、まなざし

③「揺れるまなざし」小椋佳

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というラインナップで展開したのです。

 

これで味をしめた資生堂は翌1977年もキャンペーンをうちます、

1977年資生堂春のキャンペーン

小林麻美

②マイピュアレディ

③「マイピュアレディ」尾崎亜美

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1977年資生堂夏のキャンペーン

①ティナ・ラッツ

②サクセス、サクセス

③「サクセス」ダウン・タウン・ブギウギ・ 

 バンド

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と季節毎のキャンペーンを定着化させていきます。それに対し、カネボウは1977年秋にキャンペーンをうち、対抗します。

 

1977年カネボウ秋のキャンペーン

①古泉まり子

②舞踏会のワインカラー

③「ワインカラーのときめき」新井満

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CM動画無いので、楽曲のみで。

新井氏は広告代理店のサラリーマンの傍ら、音楽や小説を手掛けた才人で、CMソングは会社命令だったと聞きます。1976年の「揺れるまなざし」を書いた小椋佳氏も銀行員でした。彼もCMソングは書かないというポリシーでしたが、銀行の取引先というしがらみで引き受けたとのことです。

 

1977年にカネボウがキャンペーンを大々的に行い、CM戦争が勃発したと考えています。ただ、この秋のキャンペーンでは、資生堂は日本語のCMソングを用意しませんでした。

翌1978年春のキャンペーンでは、資生堂南沙織氏の楽曲を用意し、カネボウは映画「女王蜂」とのコラボキャンペーンを展開。キャンペーンとしての成功度は分かりませんが、少なくともCMソングとしてはどちらもそれほど大きなヒットには至りませんでした。

 

そして、化粧品CMソングが大ヒットし、音楽業界サイドから見て、重要なヒット曲を生み出すツールであると認識することになったエポックメイキングなキャンペーンは1978年の夏であったと考えています。

 

1978年資生堂夏のキャンペーン

①パシフィックガールズ

②時間よ止まれ、まぶしい肌に

③「時間よ止まれ」矢沢永吉

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1978年カネボウ夏のキャンペーン

服部まこ

②なし

③「Mr.サマータイム」サーカス

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ここに来て初めて、資生堂カネボウ両方のCMソングが大ヒットしました。矢沢永吉氏の「時間よ止まれ」とサーカスの「Mr.サマータイム」が激突しました。どちらも60万枚超の売上となり、1978年オリコン年間チャートでベスト10入りしました。当時の売上的には「Mr.サマータイム」が僅かに上回ったようですが、私個人的には「時間よ止まれ」の圧勝です。

 

完全に化粧品のキャンペーンからヒット曲を生むというメソッドが定着しました。これ以降も多くのヒット曲が化粧品CMから生まれます。しかし、実は意外と資生堂カネボウ両方のCMソングが同時に大ヒットに至るのは珍しいのです。大抵どちらかがヒットする感じです。キャンペーン自体の成功や化粧品の売上は別にして、CMソングの成功は割と明確に勝負が着いている印象です。

次回は1978年秋のキャンペーン以降を見ていきます。

それでは、また。

 

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「カラキリクルコロ」

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下剋上

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「春に死のう」

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