ムー大陸です
前回に引き続き、歴代007シリーズの主題歌を世界最大のマーケットである米国でのチャートアクションから追いかけて行きます。
前回、007シリーズの主題歌は、映画ヒットの割に意外とヒットしていない。音楽的に暗中模索の状態だと書きました。
今回は第10作からです。
10.「007/私を愛したスパイ」(1977年)
「黄金銃を持つ男」というタイトルで主題歌を書くのも難しいが、「The Spy Who Loves Me(私を愛したスパイ)」というタイトルもかなり難しいでしょう。スパイという単語が入ってるだけでかなり出来る事が狭まる気がします。そして、この問題はこのシリーズにつきまとうもので、必ずしも主題歌のタイトルは映画と同じでなくてもいいとどこかで決断する必要がありました。主題歌「Nobody Does It Better(私を愛したスパイ)」はそれを初めて行いました。サウンド的にもこれを歌ったカーリー・サイモンに寄っていて、ある意味007シリーズっぽさを感じないポップさがあります。それが功を奏して米国ビルボードで最高2位となりました。イギリスでも大ヒットし、「Live And Let Die」に続き英米でTOP10入りを果たしました。
11.「007/ムーンレイカー」(1979年)
前作の主題歌の大ヒットで軌道に乗ったと思われました。ところが、本作ではまたも先祖返り。何故か3度目のシャーリー・バッシーの起用。曲も捉え所の無いバラッドに。歌手も旬ではないし、サウンドも時代遅れ。全く理解に苦しみますが、当然のように英米共にヒットに至らず、チャートイン出来ませんでした。
12.「007/ユア・アイズ・オンリー」(1981年)
主題歌については前作の反省からか、シーナ・イーストンが起用されました。彼女は正に当時が旬。1980年に「Morning Train(9To5) (モーニング・トレイン)」が全米1位になったばかりでした。主題歌「For Your Eyes Only(ユア・アイズ・オンリー)」も大ヒット、ビルボード最高4位を記録。英米でTOP10入りを果たしました。ウィングス、カーリー・サイモンに続き3度目です。やはり、主題歌をヒットさせるには旬のアーティストを選ぶ必要があります。ただ、シーナ・イーストンに合っていますが、曲自体はやや弱いように思います。
13.「007/オクトパシー」(1983年)
旬のアーティストを起用する事は主題歌ヒットの必要条件と学んだはずが、またも不可解な選択。映画タイトルとは異なる「All Time High」にしたのは良い事ですが、リタ・クーリッジの起用は失敗でした。ムーンレイカーの頃ならまだしも83年だと過去の人という感じで苦しいです。結果、ヒットに至らず、英米共にチャートイン無しです。曲の方もこれといった特徴が無いシンプルなバラッド。これがこのシリーズの基本的な方向性と言ってしまえばそれまでですが、そこは毎回見直すべきと思います。
14.「007/美しき獲物たち」(1985年)
今回は大きく方向転換、ポール・マッカートニー以来ロック畑からデュラン・デュランを起用。彼らは人気絶頂、ヒットを連発していました。主題歌「A View To A Kill(007/美しき獲物たち)」はサウンド的にも彼ららしいニューロマンティック路線で、007シリーズ主題歌として初の全米1位に輝きました。やはり、映画主題歌の雰囲気よりある程度アーティストに寄せた方がヒットし易いです。そこそこ映画の雰囲気にも合ってましたし。勿論、旬なアーティストであることは大前提です。
15.「007/リビング・デイライツ」(1987年)
前作に続きロック畑よりa-haが起用されました。大ヒット「Take On Me」から2年、その後大きなヒットが無い彼らでしたが、この主題歌「The Living Daylights」はかなり曲が良かったと思います。007シリーズの音楽を統括するジョン・バリーと対立し二つのバージョンが存在します。私はa-haバージョンを推します。その影響もあってか、アメリカではシングル発売は無くヒットもしていません。
これまで不可解な人選があったのもジョン・バリーの意向があったのでしょう。彼としては映画全体の音楽を考え、主題歌が売れる事を最優先にはしていなかったのだと思います。そういう彼の方向性は理解出来ますし、このシリーズにおける彼の音楽的功績は計り知れないものがあるのは十分承知しています。ただ、主題歌についてはもう少しヒット狙いで行って欲しかったと感じます。何と言っても、このシリーズは派手な娯楽映画ですから。
16.「007/消されたライセンス」(1989年)
上述の経緯でジョン・バリーは007シリーズの音楽から身を引きました。代わってマイケル・ケイメンが担当。ところが、いきなり、主題歌「License To Kill」にはベテラン、グラディス・ナイトを起用。いや、彼女は素晴らしいシンガーですが、旬ではない。サウンドもイントロから60年代に戻っています。またもフックの弱いバラッドの登場です。イギリスではヒットしたものの、アメリカではチャートインしませんでした。R&Bチャートにかろうじて入った程度です。仕方ないでしょう。ちなみに、エンディングテーマにはパティ・ラベルが起用されましたが、こちらもヒットしませんでした。
17.「007/ゴールデン・アイ」(1995年)
前作から6年経過しています。キャストも大きく変わっていますから、時間を要したのでしょう。音楽はエリック・セラに引き継がれました。主題歌「GoldenEye」はティナ・ターナーです。前作と同じ様な方向性です。旬のアーティストを使うより作品の雰囲気を大事にする。そのためにベテランのR&Bシンガーに任せる。結果、アメリカではヒットには至らず。主題歌には当時人気だったエイス・オブ・ベイスも候補だったとか。中身は別としてそちらの方がヒットしたかも知れません。
18.「007/トゥモロー・ネヴァー・ダイ」(1997年)
主題歌「Tomorrow Never Dies」を歌ったのは当時人気だったシェリル・クロウでした。にも関わらず、アメリカではヒットしませんでした。最後にシリーズの主題歌がヒットしてからもう12年経っています。リスナー側にもここからヒットが出るかもという心構えが消えているかも知れません。また、楽曲も良くも悪くも007シリーズに寄っていて、シェリル・クロウ色は薄いです。
さて、第10作から18作を駆け足で見ました。結果、カーリー・サイモン、シーナ・イーストン、デュラン・デュランがヒットに至りました。見えて来ましたね、ヒットの条件。
やはり、旬のアーティストを使う、そして、アーティスト側に寄ったサウンドにする。ここら辺が重要だと思います。
勿論、このシリーズは映画の頭で主題歌がかかるのが常なので、雰囲気を壊してはいけないのは分かります。しかし、雰囲気が保てれば、旬ではないけど実力のあるベテランシンガーでいいと考えるのは安易な選択と思います。そこは冒険を期待します。
後7作品残っています。それは次回に。
それでは、また。
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