ムー大陸です
過去の名曲を主にチャートアクションから紐解く名曲たちの成績表のコーナーです。今回の名曲は、
「Sound Of Silence」
です。
言わずと知れたサイモン&ガーファンクルの名曲です。
ほぼ聴いた事が無い人はいないのではとさえ思えるほどのスタンダードです。
ところが、これほどの名曲でさえ、初出では全く売れないという憂き目にあっています。初出は1964年、彼らのファーストアルバム「Wednesday Morning,3A.M.(水曜の朝、午前3時)」に収録され、ファーストシングルでもありました。当然ですが、この時、彼らはまだ無名ですから、何とか上手く宣伝して売るしかなかったと思いますが、プロモーションがダメだったんですかね、アルバム自体コケてしまいます。この曲のみならず、アルバムタイトル曲「Wednesday Morning,3A.M.」だって息を飲むような美しいハーモニーと衝撃の歌詞で大変な作品なんですが、この時は誰にも振り向かれませんでした。
「Wendnesday Morning,3A.M.」
ここでポール・サイモンは諦めて、イギリスへソロツアーに行ってしまいます。実はこれ以前にも彼らはトム&ジェリーの名前でデビューしたことがあるんですが、この時もすぐ大学に戻ってしまいます。結構、彼らは諦めが良くて、粘り強くキャンペーンとかしないんです。何かそこがポール・サイモンっぽいんですよね。
ただ、名曲と言えども、必ずしも最初から売れるものばかりじゃありません。最初は鳴かず飛ばずでも、後で売れたケースにはいくつか共通のパターンがあります。
先ず、アーティスト本人以外に「絶対この曲は売れる」と固く信じる人が登場します。いきなり多くの人の心を掴むには知名度が足らなかったけど、その曲に触れたスタッフにファンを作るのです。
「Sound Of Silence」においてはトム・ウィルソンです。彼は弾き語りだけだったアレンジをフォークロック的に変えます。それが今流通しているもの。つまり、売れるはずだと思っているからこそ、売れなかった理由を探して改善しようとするんです。まぁ、この曲の場合、それが売れなかった理由だとは思いません。単に知名度の問題だと思います。ただ、オーヴァーダビングして出来上がったものは素晴らしいですけど。
1964年オリジナルアコースティックバージョン
そして、次のパターン、ローカルのラジオから火がつく、これです。いきなり全国は無理でも一地域を一気に巻き込む力が名曲にはあります。「Sound Of Silence」もボストンのラジオから大学生に広がりまして、それがきっかけでブレイク。火がついて、ポール・サイモンはイギリスから呼び戻されます。初出から2年後1966年に全米1位に輝きました。この売れ方は名曲あるあるですね。映画「卒業」に使われるのは更にその翌年1967年のことです。
この曲は日本人にも大変響きました。80万枚以上を売りました。オリコンチャートでも1位となり、日本で売れた洋楽歴代5位となっています。
さて、日本においてはちょっとオマケがあります。それが「夜明けのスキャット」です。
これは1969年、つまり、「Sound Of Silence」のヒットから3年後、そのメロディが完全に浸透した頃に登場した曲です。由紀さおり氏の歌謡曲デビュー曲です。タイトル通り最初はスキャットだけでした。これがまたラジオから火がつき、人気となって歌詞が付きました。大ヒットになり、ミリオン超えを記録しました。
ただ、これ、似てるんですよ、「Sound Of Silence」に。イントロから似てるでしょ?当時からこれを盗作だと断言する人はいました。私はとりあえず似ているとだけ言っておきます。これは歌謡曲の大作曲家いずみたく氏の作品です。たまにあるんですよね、いずみたく氏は、洋楽名曲に似ているの。例えば、青春のドラマのエンディングテーマだった「帰らざる日のために」の中間部は「シェルブールの雨傘」の中間部にそっくりです。とりあえず貼っておきますので、比べてみて下さい。「シェルブールの雨傘」はオリジナルサウンドトラック盤が一番素晴らしく、それをお示ししたかったのですが、それだと分かりにくいので、アンディ・ウィリアムスの英語カバー盤にしておきました。
「帰らざる日のために」いずみたくシンガーズ
「I Will Waitr For You(シェルブールの雨傘)」アンディ・ウィリアムス
とりあえず、名曲は結局、売れます。似ているメロディの曲なら、それも売れます。ミリオンにもなります。恐ろしいですね。でも、そうでなきゃいけません。
それでは、また。
私のYouTubeチャンネルもよろしくお願いします。
新曲公開中です!是非聴いて下さい♪
「NSA」
「下剋上」
「春に死のう」