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漫画の実写化を考える

ムー大陸です

 

 

 

今回のテーマはタイトルの通り、漫画の実写化を考える、です。

以前、「こんな映画は勘弁して下さい」というタイトルで、小説や漫画の映画化について書きました。今回は漫画に絞って更にそれを考えたいと思います。

 

先般、漫画「セクシー田中さん」のテレビドラマ化をめぐり悲しい事件が起こりました。私はあの漫画を読んでいないので、直接語ることは出来ません、芦原先生のご冥福を祈るばかりですが、漫画の実写化について思うところを書いていきます。

 

まず、私の基本的なスタンスとして、漫画とアニメ、ドラマ、映画だったら、常に漫画の側に立ちます。それは漫画が圧倒的に一次創作であるケースが多く、その逆、例えば、人気ドラマがコミカライズのようなものはレアだからです。そして、私は漫画を読んで育ちました。映画やドラマももちろん観ましたけど、幼い頃からずっと触れて来たのは漫画です。自分で漫画を描いていたこともあったし、漫画家の先生は憧れなんです。そんな私にとっては、漫画を実写化することは重要ではなく、むしろ迷惑なことが殆どです。漫画ファン、原作至上主義者の極論でしょうが、お付き合い下さい。

 

よく実写化を批判する時に、例えば、「進撃の巨人」や「テラフォーマーズ」と言った名前が挙がります。失敗作と言われている作品を例にすることが多いです。それだと、「ほら、だから言ったでしょ」的に批判して終わってしまいます。なので、今回は成功と言われている作品、興行的にも、評価、評判も上手く行ったとされている作品を取り上げて、実写化の意義を問うていきたいと思います。

 

その作品は「るろうに剣心」です。

るろうに剣心」は週刊少年ジャンプに連載された人気漫画で、映画も合計5本製作され、シリーズ興行収入193億円という大ヒット。つまり、商売として大成功したのです。一方、漫画実写化成功例としてネット上の意見を調べてみると、ねとらぼ、みんなのランキングなど各種ランキングで必ず上位に、それも大抵5位以内に顔を出しています。これは映画を観た人たちが面白いと感じたり、原作ファンからも評価された結果と思われます。

 

しかし、私はそう思えませんでした。

私は漫画「るろうに剣心」全部読んでます。単行本も全巻持ってます。アニメも観ました、そして、実写映画も観ました、全部。

第1作の映画を観た時、こう思いました。キャストは完璧。強いて言えば、斉藤一役の江口洋介氏だけ年を取りすぎているが、それも許容出来る。また、アクションシーンが素晴らしい。重さを捨てて速さを重視した殺陣が独特で、神速と呼ばれる剣心の動きを表現していました。何よりも映画化したストーリーが単行本の5巻あたりまでの小さなエピソードの積み重ねの部分からであり、敵役である鵜飼堂刃衛も大物感たっぷりに登場した割りに簡単にやられてしまうというのが原作の展開だったので、2時間の映画に収まりが良かったのです。短いエピソードを映画用に拡大した印象を受けました。ここがキモだと思うのです。映画は2時間、テレビドラマは1回45分程度、これにフィットさせるには原作の分量のわずかな部分しか出来ないのです。「るろうに剣心」の第1作はその分量を絞っていました。そのため、映画の展開に余裕があり、変な設定の改変をしなくて済んだのです。実写映画には否定的な私でさえよく出来た実写化だと感じました。

 

ただ同時に、続編を作ったら、十本刀編を取り上げたら、絶対上手く行かないと思いました。何故なら、十本刀編は作品最大のクライマックス、エピソードが大きくなるからです。ですから、続編を作らないことを密かに願いました。しかし、ご存知のように十本刀編は大々的に映画化、前後編に分かれてされました。合計4時間以上かければ、映画化可能と思ったのでしょうか?

 

一方、第1作以上にキャストは豪華。初登場剣心の師匠・比古清十郎に福山雅治氏を起用したのは驚きました。というのも、十本刀編のクライマックスでは比古清十郎は十本刀の巨人・破軍の不二と闘いを繰り広げます。このシーンは「るろうに剣心」シリーズを通して私の最も好きなシーンで、どの様に実写化されるのか期待が高まりました。アクションは更に凄くなったとの評判もありましたし。

 

しかし、そのシーンがどうなったかご存知でしょうか?オールカットです。全体的なストーリーが大きく改変され、原作では大活躍の十本刀が、殆ど見せ場すら無いモブキャラに成り下がってしまいました。まともに描かれたのは天剣の宗次郎くらいかな、神木隆之介氏はピッタリだった。結果、第2作、第3作は第1作とは比べ物にならないゴミ映画となりました。本当に腹立たしい。驚いたことに、映画評論家連中はこれを褒めていた。第1作より良くなったと言う人もいた。的外れだと感じました。アクションが素晴らしいとかそういう問題以前にストーリーが破綻しているんです、あの映画は。少なくとももう「るろうに剣心」ではありませんでした。

 

第1作の時に感じた、分量を絞って、映画の中で膨らますことがキモというのを改めて感じました。第2作、第3作は明らかに尺が足りていません、キャパオーバーでした。十本刀一人ずつエピソードを展開する余裕は無く、国家転覆計画を改変してストーリーを短縮せざるを得なくなるという典型的な悪い漫画実写映画でした。

 

第2作、3作は観ると悲しくなります。ではよく出来た第1作を観て嬉しかったのか?いえ、そんな事はないんです。出来て当たり前ですから。つまり、漫画愛の私にとって実写化は良くても嬉しくない、悪ければ悲しいだけのシロモノなんです。

 

漫画と実写映画は別物?いえ、別じゃありません。名前使っておいて、都合が悪くなると別物とは卑怯です。漫画家もその様に割り切る方もいます。精神衛生上そう考えると解釈します。私は一ファンでしかありませんし、何の権利もありませんが、その作品を愛する者として言いますと、漫画だけで充分楽しんでいます。もし、それでも実写化するなら、基本完全コピー以外認めたくないです。時間や予算、技術の問題でそれが無理なら是非諦めて頂きたい。また、映画監督や脚本家独自の演出とか全く必要ありません。そして、それはあくまでスタート地点であり、作品の良し悪しはその先の話です。

 

以前のブログでも書きましたが、映画界は何かを映画化するという発想を捨てるべきです。テレビドラマも同様です。自分たちで面白いストーリーを考えましょう。漫画家たちはそれをずっとやって来て今があるんです。週刊連載なら毎週それを考えるんです。正直、映画監督、脚本家あたりとはクリエイターとしての密度、覚悟が違うように思います。私の中では映画界の巨匠も、若手売れっ子漫画のはるか下に見ています。

映画監督や脚本家がそんな事はないと言うなら、頼もしい限りです。

オリジナル脚本を楽しみにしてますよ。

それでは、また。

 

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