ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

彼とか彼女とかどっちでも

ムー大陸です

 

 

 

前回「The House Of Rising Sun」について話をした時、アニマルズのバージョンは素晴らしいが、歌詞の変更はあまり支持しないと書きました。歌詞の変更とは、オリジナルでは娼婦に身を落とした女の歌だったが、歌詞の主人公を男にした( a poor girl が a poor boyに)ため、朝日のあたる家は売春宿ではなく、刑務所のような存在に変わってしまった。これは果たして変える必要があったのか?洋楽って意外と性別の変更って多いとも言いました。

 

「The House Of Rising Sun(朝日のあたる家)」 アニマルズ

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今回は正にそれがテーマです。

 

洋楽ではシンガーの性別に合わせて、歌詞を変える事があります。しょっちゅうではありませんが、普通に行われてました。少なくとも80年代くらいまでは。

私がそれを意識した曲を例にとって説明します。その曲は「Please Mr.Postman」です。私はあの曲をビートルズで最初に聴きました。あの曲は「彼女から手紙が来るはずなんだ、郵便屋さんちゃんと見てよ!」って歌詞です。つまり、英語では「From My Girlfriend」という歌詞です。しかし、この曲オリジナルはマーヴェレッツというガールズグループの大ヒットです。彼女たちのバージョンではそこは「From My Boyfriend」になっているわけです。70年代に入ると、カーペンターズがこの曲をカバーしましたが、歌っているのはカレンですから、同様に「From My Boyfriend」です。

「Please Mr. Postman」 ビートルズ

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「Please Mr. Postman」 マーヴェレッツ

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「Please Mr.Postman」 カーペンターズ

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あるいは、ビートルズの「I Saw Her Standing There」を80年代アメリカのティファニーという歌手がカバーしました。タイトルが「I Saw Him Standing There」となってました。

「I Saw Her Standing There」 ビートルズ

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「I Saw Him Standing There」 ティファニー

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また、クリスタルズの「Da Doo Ron Ron」の歌詞、「his name is Bill(彼の名前はビル)」でしたが、70年代ショーン・キャシディ盤では「her name is Jill(彼女の名前はジル)」となってます。

「Da Doo Ron Ron」 クリスタルズ

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「Da Doo Ron Ron」 ショーン・キャシディ

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はい、こういうの意外とありますね。

アイドルのラブソングですから、気持ちはわかります。ただ、そこまで必要かと思います。男が女歌を歌ってもいいと思います。当時はジェンダレスなんて考えは浸透してないでしょうし、そういう視点ではなく純粋に歌手の表現の問題として厳密に変える必要を感じないんですよね。

ましてや、「The House Of Rising Sun」の設定変更は歌詞の根幹に関わることだから、やるべきではないと思うんです。

 

 

日本の例になりますが、私の大好きな歌で「戦争は知らない」。これはカルメン・マキ氏が歌った名曲で、作詞は寺山修司氏。素晴らしい歌詞です。

 

「野に咲く花の 名前は知らない だけど 野に咲く花が好き
 帽子にいっぱい 摘みゆけば なぜか涙が 涙が出るの」

「戦争の日を 何も知らない だけど私に 父はいない
 父を想えば あゝ荒野に 赤い夕日が 夕陽が沈む」

 

「戦さで死んだ 悲しい父さん 私は あなたの娘です
 20年後の この故郷で 明日お嫁に お嫁に行くの」

「見ていて下さい 遥かな父さん いわし雲とぶ 空の下
 戦さ知らずに 20才になって 嫁いで母に 母になるの」

 

「戦争は知らない」 カルメン・マキ

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これは見事な反戦歌で、1965年が舞台です。つまり、終戦から20年後ですね。

戦争で父親を失った娘が20年後結婚するというストーリーです。

この歌は寺山氏の劇団にいたカルメン・マキ氏のために書き下ろしたものですが、これをザ・フォーク・クルセダーズがカバーしました。彼らはメンバー全員男性ですが、「私はあなたの息子です」とはなりません。普通に女歌のままです。そうじゃないとおかしいし。当然、男がカバーして、「お嫁に行くの」と歌っても全然問題無いのです。いや、アレンジや軽快さゆえに、こちらの方が優れているとさえ思います。

 

「戦争は知らない」 ザ・フォーク・クルセダーズ

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アニマルズの「The House Of Rising Sun」もあれだけアレンジや歌唱が素晴らしいのだから、設定娼婦のまま、女の悲劇を歌っても良かったんじゃないでしょうか?英語のネイティブの感覚がいまいち掴めないんですけど、hisとかherを変えなきゃいけないんでしょうか?オリジナルのままがいいと思います。

それでは。また。

 

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プルトニウム

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「死ぬまで生きてくんです」

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