ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

映画「異動辞令は音楽隊!」を観ました

ムー大陸です。

 

今日は先日観た映画の話を書きます。

 

「異動辞令は音楽隊!」

 

はい、これです。最近の映画ですから、「私も観た」なんて方も多いかも。

一応、これも音楽映画の範疇という事で、取り上げたいと思います。

すみません、ネタバレありなので、未視聴の方はご用心下さい。

 

これは2022年に公開された、監督・内田英治、主演・阿部寛の映画です。

ストーリーはタイトルの通りです、現場一筋で生きてきた鬼刑事が、何故か警察音楽隊への異動を命じらます。鬼刑事と言えば、聞こえがいいが、要は古いタイプの刑事で、「現場百回!」とか「捜査は足だ!」とか叫んで、後輩を叱責する。見込み捜査上等で、人権無視、コンプラ違反を繰り返す。それを注意されれば、上司にも反抗的。そういう人物ですから、匿名の告発状もあり、ある意味懲罰的に音楽隊へ飛ばされてしまったんですね。もちろん、彼にはそれが不満。音楽隊なんてやりたくない。現在、捜査中の年寄りを狙った連続強盗犯を何とか捕まえたいが、もう捜査からは外れてしまった。加えて、彼には、認知症を患ってる老いた母親と、すれ違ってる高校生の娘がいる、仕事のことしか考えない父親に娘は愛想が尽きてる。仕事も家庭もすべてが上手くいかない。ところが、嫌々やっていた音楽隊の中で、徐々に前向きに音楽に取り組むようになる。元々彼は和太鼓をやっていて、音楽隊ではドラム担当だ。すると不思議なもので、音楽隊の仲間とも打ち解けて、演奏も上達するし、あんなにすれ違っていた娘とも距離が縮まった。そして、連続強盗犯の事件も・・・。という話ですね。

 

これは、警察音楽隊YouTubeフラッシュモブを見た監督が脚本書いたそうです。ストーリーは分かりやすく、先が読めます。途中で出てきた主人公を励ます警察音楽隊ファンのおばあちゃん、「ああ、この人殺されちゃうな」なんて思いましたから。音楽隊が前向きに変わっていくのも鉄板、主人公の勘が当たって強盗犯が捕まるっていうのも誰でも分かる展開です。色んな映画サイトの視聴者評にありましたが、すべてが雑なんですよね。ストーリーはこのままでいいと思うんですが、もう少し色んなところを細かく描いてほしかったと感じました。

 

人間関係の描き方とかにも不満はありますが、それは他の方に任せるとして、私としてはもう少し警察音楽隊の実情をつぶさに描いて欲しかったです。もちろん、警察音楽隊のメンバーが兼任の警察官と専任の一般職の人がいるというのも知りませんでしたから、そういうのは面白くていいのですが、現実の隊員の人がどういう心持ちで務めているのかリアルに描いて欲しかった。隊員同士の口論とかありましたが、いかにもドラマって感じでした。派手さはいらないので、もう少し現実に近い形で隊員の日常を積み重ねれば、ドラマ自体にも厚みが出たと思います。

 

そもそも何で警察音楽隊ブラスバンドなんでしょう。県民と警察の架け橋になるというのが警察音楽隊の設立趣旨だと言う。であれば、音楽ならば、何でもいいはずだ。県民が喜ぶ音楽を届けさえすればいいのだ。だとしたら、何故ブラスバンドなのだろう。オーケストラは?技術的に難しいから無理?それは分かる。じゃぁ、ロックバンドは?ロックバンドの方がより親しみやすいとも言える。何故、歌手はいないの?歌があった方が親しまれるのに。あるいは、人数や技術の関係で、ブラスバンドが最適なのだとしても、何故グレン・ミラーなのか?ジャズ、ポップスごちゃ混ぜなんだろうけど、その選曲意図は?楽器の構成の考え方は?などなど、警察音楽隊の音楽やあり方についての疑問がたくさんありました。

 

警察音楽隊の大本は軍楽隊なのでしょう。

自衛隊にも音楽隊ありますよね。そもそも、軍隊に音楽隊っているの?って話ですが、これが必要なんですね。まず、単純に軍隊は行進しますから。そして、その行進も軍の士気を上げ、敵を威圧する目的があります。その為、古くはオスマントルコの軍楽などは派手で豪華で大音量で敵を圧倒する重要な役割を果たしてきました。クラシックで「トルコ行進曲」ってありますが、あれはトルコ軍楽風ということですね。まぁ、全然そう思えないですけど。なので、軍楽という独特の音楽があるほど、民族音楽的には確立したジャンルです。しかし、警察音楽隊は最早そんな状況ではありません。そうした軍楽隊の歴史や音楽性から一旦離れてもいいのではと思いました。主人公たちの間で、音楽隊の音楽をどういう方向に持っていくみたいな話は無く、ただ練習しているだけでした。実際の音楽隊はどのように方向性を決めているんでしょう。

 

そういう疑問は一切解決されなかった。いや、もちろん、そんなこと解決する映画じゃないのは重々承知しています。ただ、そういう警察音楽隊の音楽にまで立ち入っていった方が映画として太くなっただろう感じました。余計なお世話とは思いますが。親子の問題、介護の問題、職場での軋轢、音楽隊の存在意義、税金の使い道あたりのエピソードだけじゃなく、もう少し音楽自体の部分を掘り下げて欲しかった。まだ見ていない方には、それほど、オススメはしませんが、人情話ですから、疲れた時にはいいかも。

 

それでは、また。

 

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