ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

ボブ・マーリーの映画観ました

ムー大陸です

 

 

先日、映画「ボブ・マーリー:ONE LOVE 」を観ました。主演はキングズリー・ベン=アディル、監督はレイナルド・マーカス・グリーン。公式ホームページや宣伝媒体には、制作にボブ・マーリーの息子など彼の家族や、元ウェイラーズのメンバーなどが関与しているとのこと。また、ジャマイカの首相や文化庁も協力した国家プロジェクトだとも言われていました。こんなコピーでした、

 

「ひとつの愛が世界を変えた」

 

です。

 

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と、まぁ、これだけ言われたら、期待しますよ、それは。いや、大体こういうのは胡散臭い、今までどれだけ裏切られたか。分かっているけど、期待して観てしまうんです。

 

しかし、ああ、やっぱり。やっぱり、ダメでした。それも、かなりの失望です。

 

正直、全く面白くありませんでした。一応、有料配信で鑑賞したので、思ったまま書かせて貰います。お好きな方には不快かも知れません。ご容赦下さい。

私はただのファンです。ボブ・マーリーの、そして、レゲエの。そんな程度の私から見ても、全てが中途半端に食い散らかされた感じしかしませんでした。マーリー・ファミリーやウェイラーズ関係者は本当にあれで納得出来たのでしょうか?

 

映画のストーリーの中心はジャマイカの政治的闘争の激化、対立する二大政党と二極化する国民。その中で、ボブ・マーリーは何をして、何をしなかったか、というところに絞っています。サクセスストーリーではなく、彼は既に国民的なシンガーなんです。そこに絞ったのは良かった、本当だったら、分かり易いはず。

 

しかし、彼の宗教観、ラスタファリ運動、一夫多妻的なコミュニティ、家族間での確執、一方で変わらぬ愛、バンドのメンバーの脱退、マネージャーの裏切り、そして、もちろん、音楽制作のエピソードなどが断片的に散りばめられていて、どれも分かりにくいのです。

 

その一方で、当時のジャマイカの政治状況の説明は無いのです。ストーリー展開上、そこに絞るなら、もっと、政治問題を突っ込んでいいし、それ以外は必要無かったと思います。当然、彼の信念の裏にはラスタファリ運動があるのでしょうが、私たち観客は多種多様な宗教の人でしょうから、そこはサラリと分かれば充分だと思います。そこへの共感は基本無いと思います。

 

つまり、当時のジャマイカの混乱と、ボブ・マーリーへの期待、コンサート、そして、映画で描かれたように彼らに対する暴力事件、イギリスへ避難。ここまでをもっと時間をかけて丁寧に描くべきと感じました。

 

そうした状況下、アルバム「Exodus」制作に乗り出す。ヨーロッパツアー、世界的人気の盛り上がり、そして、最後はジャマイカへ帰還、再びコンサート、対立する政党の党首の握手。この一連の流れを描くだけで時間は一杯です。

必要以上に家族の確執は描かなくていいと思います。アフリカツアー企画に伴うマネージャーの裏切り、あれ要らないんじゃないかな。また、デビューの時の若きウェイラーズのエピソードとか回想シーンで盛り込みたいのも分かりますが、そこも割り切ってカットで良かったと思います。

 

一方で、最後のコンサートは随分とあっさり終わってしまった。伝説の握手は一瞬でした。いや、そこをプッシュしましょうよ。ちゃんと、二人の党首役の俳優を出演させて、舞台裏まできっちり再現すべきだったと思います。実現するまでに色んな事があったはずです。あそこクライマックスですから。そこら辺のバランスを考えないので、非常に散漫な印象しか残りませんでした。

 

そもそも「ひとつの愛が世界を変えた」というコピーからして嫌な予感を抱かせました。ボブ・マーリーは偉大な音楽家ですが、正直、世界を、そして、ジャマイカを変えたとは思ってません。レゲエという音楽を変えたというなら、その通りでしょう。そもそも音楽家に政治が変えられる訳が無いし、それは音楽家の役割でもありません。

 

ボブ・マーリーの目の前で握手をした二大政党は結局、また対立しました。ジャマイカの首都キングストン、現在でも強盗殺人の発生率は世界でも屈指の高さです。失業率も高い。

「One Love」でも「No Woman No Cry」でも、ボブ・マーリーの歌は、聴くとグッと来ます。ただ、それはその音楽でジャマイカを変えたからではないんですね。それでも変わらないからなんです。そして、変わらないけれど、それでも「Everything Ganna Be Alright」と歌うしかないからなんです。切ないです。彼の音楽は願いなんです。私はそう感じています。

 

この映画にはそういう切なさを感じませんでした。事象としてはそういう内容を描いている筈なんですけど。極めて残念な作品でした。ただ、ファミリーが協力しているからでしょう、音楽は素晴らしいです。代表曲にとどまらず、色々な音源が聴けます。サントラは買いじゃないですか。

それでは、また。

 

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