ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

アップルミュージックベストアルバム100を考える

ムー大陸です

 

 

先月、アップルミュージックがベストアルバム100というランキングを発表しました。アップルミュージックがオススメする100枚のアルバムを1位から100位というランキングをつけて示したのです。

そのランキングは以下の通り、

 

10位 ビヨンセ『Lemonade』
9位 ニルヴァーナNevermind
8位 エイミー・ワインハウス『Back to Black』
7位 ケンドリック・ラマー『good kid, m.A.A.d city (Deluxe Version)』
6位 スティーヴィー・ワンダー『Songs in the Key of Life』
5位 フランク・オーシャン『Blonde』
4位 プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション『Purple Rain』
3位 ザ・ビートルズAbbey Road
2位 マイケル・ジャクソン『Thriller』
1位 ローリン・ヒル『The Miseducation of Lauryn Hill

 

全ランキングはこちらです

100best.music.apple.com

 

どう思いますか?

かなり冒険をしたなと思いましたね、私は。

一般的にこの手のランキング、みんなよくやりたがります。ローリングストーン誌が最も有名なところですが、それ以外の音楽雑誌、国内外問わず一度くらいはやるでしょう。あるいはテレビ番組やラジオ番組で発表することもあります。もちろん、音楽系YouTuberやブロガーのような個人レベルでやることだってあるでしょう。

 

こういうのはお祭りです。結構人の興味を引き易いので、色んなところで企画しがちです。ただ、これはかなり難しいです。一応、こちらも音楽ブログですから、「ムー大陸のベストアルバム100」なんて企画やれなくはないですが、正直、そういうのは避けますね。私などは自分の趣味で選んでしまえばいいので、好きなアルバムという基準で選ぶことになりますけど、それでも、100枚選ぶのは相当な労力ですよ。その上、ランキングって絶対不可能。

 

ましてや、ローリングストーン誌のような、ある意味音楽界の権威がそれを選ぶとなると、単なる好みという訳にはいかないでしょう。今回のアップルミュージックがどれほどの権威かは計り知れませんが、私を含め世界中での利用者数を考えると、その影響力は相当大きいと思います。そんなアップルミュージックですから、ランキングを作るにあたって考えることは2つだと思います。これは以前、ローリングストーン誌の名曲ランキングについて書いた際にも言ったことと同じなので恐縮ですが、基本的にこういうランキングについてはこの見方で判断しています、

 

①いかに説得力のあるランキングにするか

当然ですね、マイナーな作品を並べたり、あるアーティストに偏ったりすると、それを見た人は「あぁ、そういうランキングなんだ」と引いてしまいます。そこを多くの人に「なるほど」と思ってもらう必要があります。

 

②いかに独自性のあるランキングにするか

とは言え、「なるほど」と思ってもらうだけだと、新たにランキングを作る意味が薄いのです。アップルミュージックならではの、ローリングストーン誌とは異なる姿勢を世に示す必要があります。

 

①に必要なのは定番の名盤です。過去色んなその手のランキングで選ばれていて、音楽ファンも名作であるとの共通認識を持っている、そんなアルバムをランキングするのです。一方で、②に必要なのは①とは違うアルバム。具体的には新しい傑作を上位にランキングさせるのが手っ取り早いです。あるいは、定番でも下位にランキングされていたものを大抜擢、上位に入れて、色を付けていくのです。この①と②のバランスが大事です。①に傾くと安定感があるけど退屈、②に傾くと特徴はあるけど反発も大きいとなりますから、そのバランスを一所懸命考えるのが、このランキングを作成する作業です。

 

今回のランキングは、そういう意味ではかなり②に傾いていました。

ラインナップからすると、2位、3位、4位、6位、9位が①説得力担当、1位、5位、7位、8位、10位が②独自性担当です。一応、5曲ずつでバランスを取っていますから、そういう意識は働いていると思います。ただ、それでもかなり冒険、というか無謀なセレクションと言えるでしょう。①説得力担当の2位の「Thriller」、4位の「Purple Rain」はこれまでのこの手のランキングならば、もう少し下位にランキングされるところ。なので、ここも結構冒険しています。本当に①説得力担当は「Abbey Road」、「Songs In The Key Of Life」、「Nevermind」だけでしょう。その上、ランキング全体を見渡していても、かなり冒険をしています。例えば、ビートルズのアルバムは2枚だけしか選ばれていませんね、ここら辺もかなり違和感があります。

 

当たり前ですが、私は全く評価していませんし、参考にもしません。って言うか、この100枚もう全部聴いていますからね。当たり前っていうのは、この手のランキングは全部適当だと思っているってことです。ローリングストーン誌のものにしてもそうです。自分がランキングやらない理由にも繋がりますが、そんなの選べる訳ないんですよ。ランキングにしないって手もありますが、それでもかなり難しいでしょう。ですから、こういうのはちょっと話題にして忘れるのがいい。ローリン・ヒルが何故1位?と言ってみても仕方がありません。いや、私、あのアルバム持っていますよ。さすがに1位は無いかなと思いますが、そう決めたってだけの話ですから。「質が高くて意外性のあるいい線を突いた」と自分たちで思っている姿が透けて見えるような気がします。

 

「Doo Wap」 ローリン・ヒル

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「To Zion」 ローリン・ヒル

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「Ex-Factor」 ローリン・ヒル

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何しろ、基準が無いですし、ルールも無いですし、テーマ(影響を与えた、100年後に残したいなど)も無いので、どうやって選ぶのかが分かりません。

例えば、今回のランキングにはマイルス・デイヴィスジョン・コルトレーンも含まれています。となれば、ジャズもありなんですね。ジャズのセレクト少ないです。質的にジャズとロックの関係ってそんなに極端?そもそも、マイルスのアルバム1枚だけ?

ボブ・マーリーもランクしているのだから、レゲエもありです。レゲエがありなら、サンバもボサノヴァもありですよね、ジョアン・ジルベルトとか入らないのかな?いや、それだけじゃなく、世界中の民族音楽もありなわけです。だったら、クラシックだって範囲に入ってくるでしょう。

サウンドトラックが1枚も入っていないって、ちゃんと選んでいるんでしょうか?

編集盤はダメなんですか?ベスト盤やコンピ盤はオリジナル作品に劣るというのも既に偏見では?こんな疑問が湧いてきます。

 

サウンドトラックなんかは選考者が全く念頭に置いていないんじゃないかという風に疑ってしまいますね。私なら「Saturday Night Fever」絶対選びます。また、シングルヒットこそが持ち味の70年代ポップ系のバンドなら、彼らの最高傑作はベスト盤ですよ。それらのヒットに価値があるなら、ベスト盤も選択肢に入れるべきと考えますね。それに、アップルミュージックには素晴らしい民族音楽がたくさんあるんです。今までCDでは入手出来なかった歴史的名盤が簡単に聴けるんです。アフリカ、中東、北欧の音楽が一瞬で聴ける。せっかくアップルミュージックが選ぶなら、そういうランキングの方が有意義な気がします。

 

また、こうした名盤とか名曲ランキングで最も難しいのはビートルズの扱いです。今回のアップルミュージックはビートルズのアルバムを3位「Abbey Road」と21位「Revolver」の2枚をランキングさせました。ホワイトアルバムや「Rubber Soul」、「Sgt.Pepper`s Lonely Hearts Club Band」など名盤の誉れ高い作品は、何故か100位にも入りませんでした。初期の作品も然りです。これもバランスではないでしょうか?ビートルズが多過ぎるのはいかん、出来るだけ色んなアーティストの代表作を1枚ずつみたいな意識でやってしまうと、こんな風になりますね。本当は他のアーティストの代表作とビートルズのアルバムを比べる必要があるんです。これがキツイ。加えて、ストーンズボブ・ディランスティーヴィー・ワンダーについてもそれをやっていく必要があるんです。そもそもビートルズの最高傑作は「Abbey Road」なのか?から始まって、順番に並べる。有力アーティストについて全てそれをやった上で、各々の優劣を決める。出来ないな、無理です。

 

と、まぁ、すみません。色んな事を言ってしまいました。

話半分で受け取るのがいいですね、こういうランキングは。ただ、聴いたことないアルバムがあったら、聴いてみましょう。その価値は充分あると思います。

それでは、また。

 

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