ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

何故「ジ・オファー」に音楽が登場しない?

ムー大陸です

 

最近、ドラマ「ジ・オファー ゴッドファーザーに賭けた男」を観ました。2022年に米国で制作されたテレビドラマです。あまりイケてない邦題からも分かるように、あの名作映画「ゴッドファーザー」の制作の舞台裏を描いたドラマです。どれほど事実に沿っているのかは不明ですが、主人公の一人であるプロデューサーの記憶に基づいてというふれこみですし、登場人物も実在ですから、多少の脚色はあるとしても、ほぼ事実なんでしょう。私、映画「ゴッドファーザー」好きですから、ずっと観たかったんですよ。

 

大変面白いドラマでした。正直、ドラマ自体の作りは不満もありました。何か余計なエピソードが多く、無駄なシーンに思えて、一体この場面、台詞は必要なのか?ということが何度もありました。しかし、それを考慮しても、あの名作映画が出来上がっていくまでの苦労が痛い程伝わって来て、涙しました。結果を知っている私たちからすると、「無名のアル・パチーノは使わない?」「マーロン・ブランドは落ち目?」、何言ってんだよとツッコミ入れたくなるけれど、当時はそれと戦って、ようやく作り上げたものだったんですね。それにしても、フランシス・コッポラ監督の妥協を許さない姿勢には頭が下がりますね。大人の事情も予算の不足も勘案せず、こうじゃなきゃダメだと言う明確なヴィジョンが彼の中にはあって、それだけを理由に我儘を通すことが出来る、普通じゃありません。「このファミリーにとって食事は重要。豪華な厨房が要る」「マイケルの人生の転機。シチリアのシーンは絶対必要」、実際映画観ると納得するでしょうが、映画会社の幹部はコッポラを使いたがらないのもよく分かりました。

 

さて、そんな名画の舞台裏を余すとこなく見せてくれるように思えるこのドラマですが、一つ全く触れられていないエピソードがありました。それが今日のテーマ、音楽についてです。皆さんもご存知のように、「ゴッドファーザー」が名作たる所以は数多くありますが、その音楽も重要な要素である事は間違いありません。音楽を担当したのはニーノ・ロータ。「ゴッドファーザー」以前に、フェデリコ・フェリーニの「道」、ルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」など数多くの名作を生み出している巨匠です。この巨匠に音楽を依頼した経緯などは一切無く、ドラマにニーノ・ロータは登場しません。ハリウッドの作曲家にオファーしたものの、シチリアの哀愁みたいなものが表現出来ず、イタリア系のニーノ・ロータに辿り着いたと噂では聞いたことがあります。だとすると、そこにはドラマがあったはずですが、残念ながらシチリアの撮影から一気に編集、試写と突き進み、いつの間にか音楽は付いていました。

 

何故、音楽のエピソードがなかったのでしょう。勝手な憶測です。実はあの有名な「Love Theme From The Godfather(ゴッドファーザー愛のテーマ)」は映画「ゴッドファーザー」のために書かれたものではなかったのです。イタリアのコメディ映画「Fortunella」の劇伴に書いたものを転用した。その映画観た事ないんですが、音楽だけは聴いた事あります。アレンジが陽気でね、ミンストレルショーの音楽のよう。ただ、どこか哀愁が漂っています。ここに注目して転用したんでしょうか。自分の作品とは言え、よく「ゴッドファーザー」と結びつけられたと感心します。

ところが、この転用を理由に、一旦はノミネートされたアカデミー賞音楽賞から直前になって外されてしまいました。こうした経緯から今回のドラマでは描かれなかった。一つの可能性です。単に限られた尺の中で優先するエピソードと思われなかっただけかも知れません。

「Love Theme From The Godfather(ゴッドファーザー愛のテーマ)」

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「Fortunella」

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しかし、転用を理由にノミネート取消ってどうなの?そもそも自分の作品であって盗作じゃない。加えて、オリジナルと全く次元の違うものになっていれば、問題ないと思いますけど。あの曲にとってはアカデミー賞なんて小さいことでしょうが、アカデミー賞にとっては賞をあげなかったことが不明と思われても仕方ないでしょう。「Leve Theme From The Godfather(ゴッドファーザー愛のテーマ)」とオリジナル両方貼っときました。それでは、また。

 

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新曲出しました。是非聴いて下さい♪

「混沌(カオス)」

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プルトニウム

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