ムー大陸です
ギルティ・プレジャーという言葉があります。罪の意識に苛まれながら楽しむという事です。音楽でもよく使われます。例えば、バリバリのロッカーだけど、アイドル好きみたいな感じですね。別にロッカーがアイドル好きでも不思議じゃありませんが、そこは本人の心の問題です。自分で「本当はこういうのが好きって恥ずかしい」とか「人には言えない」なんて思っているとしたら、それこそがギルティ・プレジャーです。
私にとってのギルティ・プレジャーはイージー・リスニングでした。私も一応ロックを聴いて音楽に目覚めたので、イージー・リスニングなんて甘ったるいBGM、ムード音楽とか呼ばれちゃう恥ずかしいシロモノと思っていました。
ある程度それは嘘ではないでしょう。実際に権利関係は別にして、あらゆる場面で流すことが出来る音楽はそれほどありません。例えば、デパートの、病院の、銀行のBGMならば、たとえビートルズであっても不都合な歌はあるでしょう。
と言うか、1950年代から1970年代にかけてイージー・リスニングの楽団が全盛を迎えるのは、エルヴィス、ビートルズの登場により流行音楽の支配者がロックといううるさい音楽になった事と強く関連していると考えるべきでしょう。ロックがハードになればなるほど、イージー・リスニングの必要性が増します。クラシックだと大袈裟、ジャズも自己主張が強く、心置きなく流せる音楽が求められるのは経済活動の中で至極当然の成り行きのように思えます。
ただし、そんな音楽は角が取れた、進取の精神に欠けた、聴き易いだけの、正にイージー・リスニングと堕すのがお決まりではあります。そして、大半のイージー・リスニングはそう断じて構わないものばかりでしょう。
しかし、どこにあっても、どんなスタイルでも、その最大限を追い、可能性を信じる人達はいるのです。彼らはイージー・リスニングという一見取るに足らないと思われる分野において本物を作り上げ、人々に喜びを与えるのです。考えてみれば、ロックが良くてイージー・リスニングが悪い訳ではありません、ロックにもイージー・リスニングにも良いもの悪いものがあるだけなのです。
私はポール・モーリアの「Love Is Blue(恋はみずいろ)」を聴いて、大変な名曲と思いました。そう言うのって理屈じゃないじゃないですか。そして、それをきっかけにポール・モーリアのベスト盤を入手します。そこには「オリーブの首飾り」「涙のトッカータ」などのポール・モーリアのお馴染みのナンバーが並んでいました。加えて、「シバの女王」のような、ポール・モーリアと言うよりはイージー・リスニングのスタンダード、そして、何曲かビートルズやカーペンターズ、あるいは映画音楽なんかのカバーが収録されていました。
ここで明確にしておきましょう。私がオススメするイージー・リスニングは上述のポール・モーリアやイージー・リスニングのスタンダードだけです。正直言って、ビートルズなどのカバーは聴くに耐えないものでした。カバーがと言うより、他に最高のバージョンがあるものはそちらを聴けば良く、わざわざBGMにする必要はないと強く感じました。
また、映画音楽についてもよくレパートリーに入りますが、これも基本的にはサウンドトラックを聴きましょう。やはり、映画で流れるバージョンに価値があると思います。wikiなどによれば、ヘンリー・マンシーニ楽団はイージー・リスニングに分類されていますが、私はこれを映画音楽として聴きます。一方で、パーシー・フェイス楽団は元々イージー・リスニングの活動をしていたところから、映画のテーマ「夏の日の恋」をカバーし、ヒットさせました。彼らのバージョンが最も有名でしょう。こういうのは正にイージー・リスニングとして聴くべきものです。
クラシックの曲を少しポップにアレンジと言うのもよくあるパターンです。これも基本的にはクラシックとして聴きますが、全く違うものとして成立していれば、それもありと考えます。
つまり、イージー・リスニングを本職とするアーティストとその楽団が最高のバージョンを残す楽曲をイージー・リスニングとして聴くという姿勢が大事だと思います。
さて、ポール・モーリアが私の名曲リストに刻まれたことから、私は他のイージー・リスニングの楽団にも更なる名曲が隠されているのではないか、そんな風に思いました。そうして私はイージー・リスニングの楽団を聴き進めていきます。とは言え、それは次回紹介します。今回はポール・モーリアだけに絞って名曲を紹介します。
「恋はみずいろ」
私のイージー・リスニングの扉を開いた名曲です。作曲はアンドレ・ポップ氏。彼もイージー・リスニングの大物ですが、彼の最高の仕事はイージー・リスニングではなく、この曲を作ったこと。不滅の名曲です。元々はヴィッキーの歌付きです。ユーロヴィジョンコンテストで4位を獲得しましたが、どうもパッとしない出来です。曲は良いのに4位だったのは歌とかアレンジに原因があると感じました。それを証明するかの様に多くのカバーが作られます。その中でもポール・モーリア盤が最高です。1967年米国ビルボードチャートで1位を獲得しています。まだイージー・リスニングに罪悪感を抱いていた頃、その事実を知って、偉そうですけど、自分の正しさを確認出来たようで嬉しかったです。それからでしょうか、罪悪感が消えていったのは。
「涙のトッカータ」
モーリア氏作曲ではありませんが、作曲者ガストン・ローランから引退時にレコーディングを許され、ほぼ彼の楽団のオリジナルです。彼が惚れ込んだだけあって実に美しいメロディ、そして軽やかなアレンジです。ピアノからストリングスへメロを引き継ぐところ良いですね、勉強させてもらいました。1973年発表。
「エーゲ海の真珠」
これもモーリア氏オリジナルではありませんが、彼のものが最も有名でしょう。中間部のスキャットは「シェルブールの雨傘」のダニエル・リカーリです。ちょっとベタですけど、それもイージー・リスニングの醍醐味でしょう。1970年メキシコ向けに準備された曲らしいです。
「オリーブの首飾り」
オリジナルはタイトルも違って「嘆きのビンボー」でしたが、1975年にモーリア氏がカバーし、日本ではモーリア氏最大のヒットとなりました。その後、マジシャンがTV出演時も含めて使用したことから、マジックのBGMの定番となりました。私的にはちょっと不本意です。
「蒼いノクターン」
モーリア氏作曲。彼のオリジナルとしては一番有名で最高傑作でしょう。1969年発表です。彼は自身で作曲をするわりにあまり自作にこだわり過ぎないところが強みですね。
この曲は途中からコーラスが入っているバージョンの方が好きです。
「そよ風のメヌエット」
これもモーリア氏作曲です。可愛らしい小品で、傑作です。私個人的には「蒼いノクターン」よりこちらをモーリア氏オリジナルの最高に推します。
ポール・モーリアは人呼んで「ラヴ・サウンドの王様」です。70年代には日本でも大人気で、何度もコンサートツアーで来日しました。今ではもう過去の人でしょうが、決して古臭いとは思いません。今では全く罪悪感などありません、こうして人に勧めていますから。次回は他の楽団をオススメします。
それでは、また。
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「騒乱節」
「頑張ってって言わないで」