ムー大陸です
過去の名曲をチャートアクションから紐解いていく名曲たちの成績表のコーナーです。早くも20回目となりました。皆さんのおかげです。ありがとうございます。
今回は、
「Bad Day」
を取り上げます。
この曲は2006年のダニエル・パウターの大ヒットです。これまでこのコーナーで取り上げて来たナンバーに比べて新しいので、ご存知の方も多いでしょう。
この歌はビルボード誌が選んだ2000年代の「One Hit Wonder(一発屋)」ランキングで1位に輝いています。輝いてと言っていいんですかね?一発屋として1位って微妙ですが、まぁ、一発でも当てた訳ですから、一応、輝いたとしましょう。
という訳で、今日は、この曲を通じて、一発屋というものを考えていきたいと思います。
一発屋とは1曲のヒットだけで、次の曲以降全くヒットしなかったアーティストを言います。そんなの当たり前だと思うでしょう。ただ、これは意外と難しいんです。何しろ、1曲はヒットしているんです。そのヒットの前にはヒットは無いんだから、無名なのにヒットが出た事になります。だとすると、そのヒットは相当に良い曲と考えていいでしょう。
そして、そのヒットの次のシングルを出す。今度は宣伝もしてもらえる。少しは有名にもなった。あのヒット曲のアーティストの次のシングルだから、聴いてみようと思う人も少なくないでしょう。ならば、普通にしていても、そこそこはヒットしてしまうものではないでしょうか。少なくとも無名の状態で一発当てるより余程簡単に思えます。例えば、ビルボードのヒットチャートで言うと、少なくともTOP40には入らなくとも、HOT100には入ることはあると思うのです。
私が考える一発屋の条件。これはただ一つ、世界最大のマーケットアメリカにおいてヒット曲以外にHOT100チャートインが1曲も無いこと、これです。
ヒット曲の方はどの程度までをヒットと呼ぶかは明確ではありません。TOP20でもヒットと言えば、ヒットです。まぁ、ヒット曲については、TOP10が最低限、本来は1位獲得と考えたいです。ヒットが大きければ大きいほど一発屋としてのスケールが大きくなります。
つまり、全米チャート1位を取ったのに、次のシングルはHOT 100にすら入らなかった。これを一発屋と呼ぶのです。改めて難しいと感じませんか。加えて、但し書きもあって、「あらゆる名義において」です。つまり、かつて在籍したバンドでヒットがある、誰かとのデュエットでヒットがあるというのも除外します。また、誰かに提供した楽曲がヒットしているのも一発屋の定義から外すべきでしょう。
何と本日のテーマ「Bad Day」はそんな条件を見事にクリアしています。この曲はダニエル・パウターのデビュー曲です。ですから、彼の名義では以前にヒット曲はありません。彼にバンド活動等の別名義もありませんから、この曲がヒットした時点では正真正銘の一発屋です。この「Bad Day」はビルボードチャートにおいて5週間1位となり、何と年間チャートでも1位となったのです。
にもかかわらず、次のシングル「Free Loop」は
100位に入りませんでした。何故でしょうね。年間1位の次なのに。その後、現在に至るまでHOT100へのチャートインがありませんから、正に本物の一発屋です。2006年と2012年にビルボードのアダルトチャートにはランクイン楽曲あるので、一発屋としての純度は下がりますが、むしろ、継続的に活動しているけど、HOT100にチャートイン出来ないと改めて確認出来るので、それも良しとしましょう。
「Free Loop」
一発屋にはイロモノや限定ユニットが多いのです。最初から次が無いケースが多いからです。例えば、1996年の年間1位、ロス・デル・リオの「Macarena(恋のマカレナ)」はイロモノと言っていいでしょう。彼らは事実上一発屋なんです。ただ、14週1位だったのはベイサイド・ボーイズ・ミックスで、通常ミックスはそれとは別に最高位23位でランクインしてしまったため、一発屋ではなくなっています。
あるいは、「We Are The World」を歌ったUSAフォー・アフリカは限定ユニットですから、一発屋に該当しますが、多くのメンバーが別名義でヒットを持つ人多数ですから、除外されます。
つまり、続けて音楽活動をしているのに一発屋のままであるというのは真の一発屋なのです。
「Macarena(恋のマカレナ)」ベイサイド・ボーイズ・ミックス ロス・デル・リオ
また、一発屋には非英語圏のアーティストも多いです。継続的なプロモーションが難しいですから。上記のロス・デル・リオはスペイン。1963年の大ヒット「Sukiyaki」(上を向いて歩こう)」を全米1位にした坂本九氏も一発屋です。ただ、彼もそうですが、全米チャートでは一発屋であっても、母国では大スターというケースも少なくないのです。英語圏なのに一発屋というのも真の一発屋です。
では何故ダニエル・パウターは一発屋になってしまったのでしょう。彼が英語圏であってもカナダ人だったことも一つの理由でしょう。私たち日本人にしてみれば、カナダとアメリカは随分と近いように思えますが、ダニエルにとっては外国です。プロモーションも思うように出来なかった可能性はあります。新人でもありましたし。
また、曲は万人受けする正に名曲である一方で、サウンド面にはこれといった特徴のようなものがありません。加えて、ダニエル氏についても、ルックスが際立っていいとか、面白いとか、この際気持ち悪いでもいいんですが、印象的な部分が無いのです。結果、曲にファンはついてもアーティストやサウンドにはファンがつかず、次のシングルには興味を持って貰えなかったということでしょう。
「Bad Day」がヒットした2006年、ジェイムス・ブラントというイギリス人が「You're Beautiful」という曲をヒットさせました。これも1位を獲得し、年間でも4位でした。これが美しい曲で、サウンド的にはそれほど特徴が無い。アーティストも特にこれと言った強い印象が無いという、実に「Bad Day」、そして、ダニエル・パウターに似たパターンでした。彼も次のシングル以降苦戦しました。でも、何とか次のシングル「Goodbye My Lover」がHOT100では66位にランクインし、一発屋ではなくなっています。そんな感じが普通なんですけどね。
「You`re Beautiful」 ジェイムス・ブラント
ダニエル・パウターは本当に珍しいです。それもその一発が年間1位ですから、スケールの大きな一発屋です。
かつて、一発屋の代名詞のように言われたナックというバンドは1979年の年間1位「My Sharona」を出して消えていったと思われがちですが、彼らは次のシングルを11位にしていますし、その他にも小ヒットがあります。「My Sharona」の再リリースも91位にランクインしており、正確には6発屋です。一発屋の世界では全く三流です。
「My Sharona」 ナック
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaawww.youtube.com
年間1位のヒットを一発放ち、その他一切100位以内にランクイン無し。ダニエル・パウターは一発屋の中の一発屋です。
それだけに「Bad Day」という曲は素晴らしいです。
それでは、また。
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