ムー大陸です
先般、ローリングストーン誌のロック歴史観は「アメリカがロックの母国である」という誇りに満ちている。彼らが選んだ偉大なアーティストベスト100において、例えば、プログレ、グラム、パンクと言ったロックムーブメントの中心となった名バンドよりも、50年代のロックオリジネイター達を上位に置いているのが何よりの証である、ということを書きました。私は彼らの姿勢には批判的で、誕生は重要だが、その後の発展の部分を重視したい、個人的には、ボ・ディトリーがクイーンより上に来ることはない、と書きました。
その思いは今後も変わることはありませんが、そうは言っても、ロックの誕生に貢献したミュージシャンが偉大であるという思いは当然持っています。今回はそのロック誕生に関わったミュージシャンの内、上述のローリングストーン誌の偉大なアーティストベスト100においてTOP20入りを果たした4人のオリジネイターたちにスポットを当てて、ロックの誕生と彼らの素晴らしい功績を追いかけたいと思います。
偉大なアーティストベスト100での順位は、
2位 エルヴィス・プレスリー
5位 チャック・ベリー
8位 リトル・リチャード
13位 バディ・ホリー
となっています。
とりあえず、彼らをロック誕生四天王と呼びます。
1955年ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの「Rock Around The Clock」が最初のロックンロールの大ヒットと言われています。ただ、ロック誕生においてはそれは一つの結果です。始まりは更に遡ります。具体的にいつ誰がどこで最初に披露したかなどと特定出来る訳ではありません、1950年代前半から黒人ミュージシャン達の間で広がったムーブメントと思われます。例えば、映画「Elvis」においても描写があるように、黒人街において、音楽的にはブルースが母体となってロックが誕生したのは間違いないでしょう。
ですから、チャック・ベリーやリトル・リチャードがある日突然思いついてやってみたという類のものではないと認識しています。彼らも彼らの先輩を真似しているうちに、徐々にオリジナルの形になっていったのではないでしょうか。そんなミュージシャンは何人もいたけれど、その中でクオリティの高い曲を書いて、演奏能力や歌唱力に秀でた彼らが人気となり、その名を残したのでしょう。だから、誰か特定の個人が始めたとするのは難しく、偉大なアーティストと言った時、私がロック誕生を過度に重視しないのはそういう理由です。但し、上記4人の中でオリジネイターは誰かと問うなら、それはチャック・ベリーとリトル・リチャードで決まりです。
「Maybellene」 チャック・ベリー
「Long Tall Sally」 リトル・リチャード
では、何故、ベリーが5位でリチャードは8位なのでしょう。例えば、ビートルズにおいては、ジョン・レノンがベリーの「Rock And Roll Music」を、ポール・マッカートニーがリチャードの「Long Tall Sally」を熱唱しています。ベリー、リチャード共に次世代への影響は大きく、優劣つけ難いとの印象を持ちます。
ただ、順位の差は彼らの楽器の差だと考えます。ベリーはエレキギターなのに対し、リチャードはピアノです。やはりロックならではの中心的楽器はエレキギターになります。その基本的な楽器を使って、リフを駆使した楽曲とパターンを示したのが決定的な理由と思います。ピアノ弾き語り系アーティストは他の音楽分野にも存在しますから、どうしてもロックならではというニュアンスはギターほどではありません。
また、上述のロックンロール初のヒット曲「Rock Around The Clock」がビルボードチャートで1位になったのが、1955年7月9日、ベリーの最初のヒット曲「Maybellene」が最高位5位になったのが同年9月10日です。リチャードの最初のヒット曲「Long Tall Sally」が最高位6位を記録したのは翌1956年のことですから、その点でもベリーが一歩先を行っていました。
ただ、ベリーによるギターロックが基本形を示したのは重要ですが、同時にピアノによるロックが誕生したことは、ロックの幅になったと思いますし、その点でリチャードの功績は侮り難しと言いたいです。
「Heartbreak Hotel」 エルヴィス・プレスリー
では、何故その二人の偉大なオリジネイターを差し置いてエルヴィス・プレスリーは2位なのでしょうか。彼が黒人から学んで彼のロックンロールを作り上げたとするならば、ベリー、リチャードの下にランクインすべきと思う人もいるはずです。しかし、それには反対です。エルヴィスが2位である理由はロックのオリジネイターであるからではないと考えるからです。ロック誕生というよりは、その伝播こそが彼の最大の功績です。50年代はまだ差別が大きく横たわる時代です、ロックンロールが多くの人々に認知されるには白人シンガーが必要でした。彼は多くを黒人ミュージシャンから借りてきたかも知れませんが、表現力は抜群で、オリジネイター二人を遥かに凌駕しています。ほとばしるような歌と圧倒的な存在感を持つエルヴィスは選ばれたシンガーです。彼はロックンロールの伝道者。世界中にロックンロールを広めた功績、これが2位の理由でしょう。
「Peggy Sue」 バディ・ホリー
さて、それでは、13位にランクインしたバディ・ホリーは一体何故そこまで高ランクなのか?確かに他の3人よりは下ですが、相手はロックのオリジネイター二人とその伝道者です。高過ぎるのではと思う人もいるでしょう。この高評価は彼の唯一無二のスタイルによるものと考えます。何が唯一無二なのか?彼は黒人ミュージシャンから何も借りていないロックンローラーなのです。エルヴィスは多くのものを黒人から借りたと上述しました。その通りです。それが普通です。偉大なアーティストベスト100の24位にランクインしたジェリー・リー・ルイスは白人です、彼はリチャードと同じピアノ系ロックンローラーで、黒人ミュージシャンの影響が色濃くあります。カール・パーキンスもジーン・ヴィンセントも当時の白人ロックンローラーはみんなそうなんです。
でも、バディ・ホリーは違います。彼のロックンロールには黒人の影響が感じられないし、ブラックミュージックの臭いがしないのです。つまり、彼は白人のロックンロールを作ったオリジネイターなのです。1960年代から70年代に「バディ・ホリーが死んで、ロックは終わった」という極論を口にする人がいました。彼が作ったのが、唯一無二の白人ロックンロールならば、あながち嘘ではないとも言えるのです。その影響力は他の3人にも引けをとりません。
今日はロック誕生に関わった4人のミュージシャン、ロック誕生四天王について書きました。誰が1番なんていうのは、やはり無粋な話です。みんな偉大で良くないですか?
それでは、また。
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