ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

歴史ドラマは難しい

ムー大陸です

 

 

前回まで大河ドラマについて書きました。色々文句も言いましたが、毎年欠かさず見ている者の戯言とお許し下さい。

歴史ドラマとは難しいものです。

これが歴史の研究、学問であれば、分からない事は分からないと言うしかありません。研究においては、史料などの証拠があって初めて事実が明らかになります。いや、あっても解釈が分かれる場合も多いので、諸説並び立つことになります。

 

しかし、ドラマは違います。 

その分からない部分を想像で埋めるのが、小説家、脚本家たちの腕の見せどころです。例えば、何故明智光秀本能寺の変を起こしたか?これは光秀の自筆の書でも発見されない限り分かることは無いのです。ドラマではそれを描かなければいけません。少なくとも光秀はもちろん、信長や秀吉を主人公とするなら必須です。ただ、そこは説得力が要るのです。明智光秀は神のお告げを聞いて謀反に及んだ。これでは到底受け入れられない。いや、そうかも知れないだろ、どこにも書いてないんだからと主張することは出来ますが、説得力に欠けます。

 

歴史ドラマのストーリー作りとは分かっていることは曲げずに、分かっていないことを膨らます作業です。何を膨らまして、何を無視するかを取捨選択する、これが核になります。ここが私の取捨選択と合致したり、合致してなくても想像を超えていたりすると、いいドラマと感じるのです。

 

2年前の大河ドラマは「鎌倉殿の13人」でした。三谷幸喜氏の脚本は巧みで、1年間楽しく見ることが出来ました。あのドラマ、主人公は北条義時でした。歴史の教科書に必ず出て来ますね。

ただ、史料には義時の名前は出て来ません。この時代のドラマを書こうとしたら、必ず読み込むのが「吾妻鏡」です。同史料には北条義時ではなく、江間小四郎、江間四郎、北条小四郎の名で登場します。

 

なので、小栗旬氏扮する義時は、みんなから小四郎と呼ばれていました。公の場は別にして、日常的には義時ではなく小四郎の方を呼ぶのが当時の慣習です。江間とは伊豆の地名です。北条氏は伊豆の豪族。義時は江間に所領を持っていたので、江間を名乗っていたのです。これは分家であって、北条の後継ぎではないということです。

 

そして、四郎は四男を意味します。北条時政の四男で四郎。小四郎とは四男の四男です。つまり、父親北条時政も四男なのです。当時でも寿命的に親子二代で現役は充分あり得ます。時政も四郎、義時も四郎だと、北条の四郎と言った時、「どっちの?」となるので、息子の方を小四郎と呼ぶのです。長男の長男は小太郎です。長男の次男は太郎次郎となります。

 

ちなみに徳川家康は次郎三郎と名乗ります。本来一族総領は長男が務めるところですが、その時々の事情で次男が務め、その次の代でも三男が務めたことがあったのです。そのため次郎三郎家と呼ばれ、その末裔が家康です。家康は長男です。次郎三郎家の太郎です。もう、冗談みたいです。

 

話を戻します。義時に3人も兄はいませんでした。ドラマでも片岡愛之助氏扮する兄北条宗時は三郎なのに長男、小四郎は次男でした。理由は分かっていません。どこにも書いていないからです。想像すると、長男次男が早くに死んでしまったとか、何かの験を担いでか?

そこ、ずっと気になっていたんです。

「鎌倉殿の13人」のドラマで、そこに何らかの解釈を加えることを少し期待していました。と言うのも、あのドラマは「ゴッドファーザー」のようなファミリーの物語だと聞いたからです。ならば、そこに触れるのもアリと勝手に先走りました。結局、本編にはあまり影響無い上に、史実は不明で面倒くさいですから無視しましたね、無難です。そこの取捨選択は私とは合わなかったようです。

 

合わないのはいいのです。

一番良くないのは、登場人物に何かをさせておいて、その理由を示さないことです。

上述のように明智光秀は何故裏切ったのか?ドラマでその答えを見たいのです。決して光秀に「分からない」と言わせないで欲しい。

例えば、こんな場面を想像して下さい。本能寺の変後、誰かが光秀に問う

「何故このようなことをなされたのか」、

光秀がそれに答え

「分からない、でも、やらずにはいられなかった」

こんなやり取りは勘弁して下さい。もし仮に本当に光秀にさえ理由は分からなかったとしても、脚本家は理由を見つけなければなりません。そうでないと、脚本家こそが分かってないから、誤魔化した、視聴者に判断を委ねたと見えてしまいます。それなら、神の御告げ説でもいいから、自身の解釈を示して欲しい。それを見るのが歴史ドラマの楽しみですから。

 

なので、歴史ドラマを素晴らしいと感じる順に並べると、

①私の解釈を遥かに超えている

②私の解釈と合致している

③解釈は示されているが、ありがち

④解釈は示されているが、説得力なし

⑤解釈示さない

となります。

⑤なんてないと思うかも知れませんが、割とあります。細かいシーンまで含めれば、何故そうなるか明確にしないまま進むことが。

そういうのはキツイな。

すみません、勢い余って音楽と関係ない話をしてしまいました。次回は普通に音楽の話で。

それでは、また。

 

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