ムー大陸です。
前回は映画「Elvis」の話をしました。
今回はその流れで、私の好きなミュージシャン伝記映画について書きます。
以前に映画「グレート・ボールズ・オブ・ファイアー」について書きました。
今回は映画「ラ・バンバ」です。
これは結構ヒットした映画です。ロス・ロボスが歌った主題歌「ラ・バンバ」のカバーは全米1位になりました。ただもう今では忘れ去られた映画のように思えますが。
この映画はメキシコ系アメリカ人ロッカー、リッチー・ヴァレンスを主人公にしいています。この映画はサクセスストーリーから一転悲劇へというものです。実際、彼は「ドナ」という大ヒットを飛ばし成功しますが、その最中飛行機事故で亡くなります。この映画も彼が死んで終わりなので悲しいのです。しかし、そんな映画にも一つ素晴らしいシーンがあり、そのためこの映画が大好きなのです。
映画の終盤、リッチーはツアーでニューヨークにいます。しかし、ニューヨークは寒波に襲われ、その上バスの暖房が壊れていて非常に寒い。そこで売れているスター連中は次の公演地に飛行機で移ってもらうように公演側が手配してくれた。リッチーは「ドナ」がヒットしていたから、飛行機に乗れることになる。しかし、リッチーは飛行機が苦手。この映画の中でリッチーは予知夢的に飛行機が爆発する夢を見るんです。まぁ、この設定はあまりにも結果論的で好きではありませんが。飛行機が怖いのと寒さのため飛行機の中でリッチーは震えています。そこに現れたのがバディ-・ホリーです。彼もこのツアーに参加しています(単独のコンサートツアーではなく、TVショーのツアーみたいなもんか)。そして、震えているリッチーにバディー・ホリーが言うんです、
「リッチー、大丈夫だよ。スターは空から落ちないんだぜ」
はい、これです。このセリフでもう決まり。この映画好きです。
確か、英語のセリフではbelong toとかだったと思うので、直訳すれば「スターは空にあるものだろう」くらいでしょうが、ここは上記の訳でお願いします。
果たして、飛行機は墜ちてしまった。
バディ・ホリーもリッチー・バレンスも死んでしまった。
この事故はむしろバディ・ホリーが死んだ事故として多くの人に語られる。
ある人はバディ・ホリーが死んで、ロックは死んだとまで言った。
しかし、どうでしょう、それはあくまでそれほど重いという比喩であって、実際にロックは死ななかった。バディ・ホリーは極めて特殊なロッカーで、彼は何も黒人から借りて来なかった白人ロッカーだ。ロックンロールは黒人の音楽。チャック・ベリーやリトル・リチャードがオリジナルだろう。エルヴィスはそこから多くのものを得て自分のスタイルを築いた。しかし、バディ・ホリーのロックには黒さを感じないのだ。ミック・ジャガーがバディ・ホリーのことをそんな風に言っていた。
つまり、バディ・ホリーの後に多くのロッカーが続いた。ザ・ビートルズもストーンズもそうだ。飛行機は墜ちて、彼は死んだ。リッチーも死んだ。でも、やはり、バディ・ホリーが言ったように、彼らは空からは落ちなかったんじゃないのか?今でも燦然と輝いているのだから。
それでは、また。