ムー大陸です
今回はタイトル通り「ウルトラセブン」の音楽についてです。
多くの方がご存知だと思います。「ウルトラセブン」は1967年10月から約1年間に渡って放送された特撮ヒーロードラマです。「ウルトラQ」「ウルトラマン」に続く円谷プロが送るウルトラシリーズの第3弾です。M78星雲のウルトラの星からやって来たウルトラセブンが地球を守る為様々な敵と戦うストーリーです。
1967年と言うと、丁度アメリカではヒッピー文化最盛期です。モンキーズの「Daydream Bliever」、日本ではジャッキー吉川とブルー・コメッツの「ブルー・シャトー」などがヒットした年です。もう、60年近く前の作品という事になります。
しかしながら、そのクオリティは恐ろしい程高いです。SFXなど無い時代ですから、怪獣や宇宙人は全て着ぐるみですし、今見ると技術面で拙い部分はあるにせよ、よく練られた脚本と大胆な演出で、子供向けとは思えない社会派とも言える作品に仕上がっています。その評価はウルトラシリーズ随一に推す人も少なくありません。
さて、その音楽を担当したのは冬木透氏です。
クラシック畑の人で、蒔田尚昊(まいたしょうこう)の名前で活躍する作曲家です。劇伴の仕事では冬木透名義と使い分けています。ここまで「ウルトラQ」「ウルトラマン」はジャズミュージシャンの宮内國郎氏が音楽担当でしたから、ある意味方向転換を図った形になります。宮内氏のサントラは名作と言えるほどのものでしたから、何故交代したかは分かりません。宮内氏側の事情か、作品の方向性か。正直、劇伴って「この人じゃなきゃダメ」っていうものじゃありません。「こういう感じでお願いします」というリクエストに応えるスキルがある人なら充分なので、察するに宮内氏側のスケジュールとか他の仕事などの関係で断られたのではないでしょうか、勝手な推測ですみません。
いずれにせよ、冬木氏の起用は大正解でした。当然ですが、音楽的にはクラシックに寄ります。作品の顔と言える主題歌は前作「ウルトラマン」から大きく雰囲気歌変えました。
「ウルトラセブンの歌」
冬木氏は英雄の調と呼ばれる変ロ長調で書いたと言っていました。思い入れを感じます。勇壮なマーチで風格を感じます。昭和のアニソンにはよくマーチが使われましたが、大抵もう少し和のテイストです。例えば、「巨人の星」などを思い浮かべると分かりやすいでしょう。そうしたちょっと悲壮感漂う行進曲とは異なり、欧州の伝統のようなものが伝わります。
イントロから大きなスケールを感じさせます。また、間奏のブラスもカッコいいです。いや、しかし、何と言っても、最高なのは歌の合間に入るホルンでしょう。
ちょっと他の特撮ソングやアニソンでは見かけません。ウルトラシリーズの中でもこの「ウルトラセブンの歌」だけが特殊に感じます。他の「ウルトラマン」「帰ってきたウルトラマン」などの主題歌はよくも悪くも特撮ソングやアニソンと言った風情を感じますが、「ウルトラセブン」にはそれがありません。変な言い方ですが、「ウルトラセブン」に似たアニソンって無いという事です。
冬木氏はこの後「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」「ウルトラマンレオ」で音楽を担当しました(何故か「ウルトラマンタロウ」だけ日暮雅信氏)。つまり、昭和のウルトラシリーズをほぼ通して音楽を担当します。しかし、どういう方針変換だったか分かりませんが、「帰ってきたウルトラマン」以降、音楽担当、つまり、劇伴と主題歌を別々の作曲家が作曲するようになります。従って、冬木氏は「帰ってきたウルトラマン」以降、劇伴のみで主題歌を書いていません。「帰ってきた」の主題歌はすぎやまこういち氏、「A」は葵まさひこ氏「タロウ」「レオ」は川口真氏になっています。歌謡曲で実績のある作家を選んでヒットを狙いに行ったのかも知れません。劇伴と主題歌を別の人間が担当するのは昨今のドラマなどでも当たり前に行われています。
しかし、だからこそ、結果的に冬木氏はウルトラシリーズの主題歌を1曲だけ書くことになり、それ故に「ウルトラセブン歌」だけが特殊な構成とアイディアに彩られた作品と私たちには映るのでしょう。他にも聴いてみたかったですね。ちなみに同じ円谷プロの特撮作品「ミラーマン」では主題歌を書いています。こちらも独特のスケール感があって素晴らしい曲です。ただし、「ウルトラセブンの歌」より特撮ヒーローものっぽさが出ています。
「ミラーマンの唄」
一方、主題歌「ウルトラセブンの歌」の作詞は東京一氏です。これは円谷一氏のペンネームで、「ウルトラマン」から「A」までは主題歌、挿入歌全て彼が作詞を行なっています。彼が亡くなって「タロウ」「レオ」は阿久悠氏に託されました。東京一氏の詞は正直、当たり前の歌詞が多く、ボキャが少ない印象です。詞の面では私は「戦え!ウルトラマンレオ」が一番好きです。さすが阿久悠氏です。
さて、その主題歌を歌ったのはジ・エコーズという男性コーラスグループとみすず児童合唱団です。当時、ジ・エコーズには後に「また逢う日まで」でレコード大賞を獲得する尾崎紀世彦氏が在籍しており、最初の「セブーン♩」の3番目が尾崎氏だと聞いています。主役の俳優が主題歌を歌うようになるのは「帰ってきた」以降です。これはどうしてもクオリティを落とす事が多いので、その点でも「ウルトラセブンの歌」は良かったと思います。
気付くと主題歌の話だけで長くなってしまいました。次回は挿入歌及び劇伴についてです。
それでは、また。
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「騒乱節」