ムー大陸です
今回は時代劇の音楽に注目します。
今ではそれほど多くない時代劇ですが、昭和の時代には人気のコンテンツでした。昭和の時代劇は少なからずシリーズ化して、長年にわたって放送されていました。
従って、そのテーマ曲や主題歌、あるいはエンディングテーマは決してヒット曲ではなかったとしても多くの人の耳馴染みとなります。ある意味日本人のソウルミュージックとも言える楽曲の数々でしょう。今回はそんな時代劇シリーズの顔となった名曲の中から特にオススメをピックアップして紹介しようという企画です。一応、基本的には定番を揃えて、一部私の好みに偏る感じになっています。
ここで言う「時代劇」の定義は「歴史ドラマ」を除いたフィクションです。例えば、実在する人物であっても、取り上げ方次第で「時代劇」にも「歴史劇」にもなります。例えば、徳川吉宗を描いた「暴れん坊将軍」は「時代劇」ですが、大河ドラマの「八代将軍吉宗」は「歴史劇」と考えています。従って、NHK大河ドラマは全て除外。過去このブログで特集していますので、そちらをご覧下さい。
また、時代劇シリーズの定番から外せない「必殺シリーズ」については過去このブログで2回にわたって紹介しました。「必殺シリーズ」は私にとって特別なんです。その時は劇伴中心でした。「必殺シリーズ」のエンディングテーマは別途それだけで特集するので、今回は触れる程度です。
それでは早速紹介していきます。
1. 「あゝ人生に涙あり」(水戸黄門)
トップはやはりこの国民的ドラマ。
天下の副将軍水戸光圀がお供の助さん格さんらを連れて諸国漫遊。行く先々で人助け、悪を懲らしめるというストーリーです。
1969年に放送開始以降42年間、実にシーズン43まで続いた人気シリーズでした。放送終了は一つの時代の終わり、時代劇の衰退を感じさせるほど。その主題歌は「人生楽ありゃ苦もあるさ♩」のフレーズで有名なあの曲です。作曲は木下忠司氏。映画監督木下恵介氏の弟で、映画、テレビのサントラを多く手がけています。作詞は山上路夫氏、こちらも歌謡曲の巨匠。
この歌は歴代の助さん、格さん役の俳優がデュエットするのですが、演奏なども含めて、里見浩太朗氏と横内正氏バージョンを推します。何やら先輩から人生相談の答えを聞いているような気になります。モーレツ社員の歌のようでもあります。その実ドラマと合っているとは思えませんが、何故か昭和の日本人の心の歌の一つなっています。
2. 「ててご橋」(子連れ狼)
小池一夫作・小島剛夕画の漫画をドラマ化。いくつか映像化作品がありますが、これは1973年開始の萬屋錦之介氏主演のシリーズで、その主題歌です。作詞は原作者・小池一夫氏(小池一雄名義)、文句無しです。作曲はアニソンの巨匠、渡辺岳夫氏です。オープニングの「ててごとははごと♩」の子供のコーラスから心が持って行かれます。歌っているのはバーブ佐竹氏です。「女心の唄」で知られた歌手です。雰囲気がある一曲で、ドラマという後ろ盾があってこそ作ろうと思える作品だと感じます。
3.「子連れ狼」(子連れ狼)
などと言っておいて、その「子連れ狼」はシーズン3で主題歌が替わります。それがこの曲。当初は別に主題歌ではなく、単に橋幸夫氏のシングルの企画で劇画「子連れ狼」のイメージソングとして作ったものでした。第一発売は1971年ですから、ドラマの開始より早いです。1976年に主題歌に起用。元々こちらも作詞は小池一雄氏、作曲は橋幸夫氏の師匠・吉田正氏です。これが主題歌ではなくイメージソングとして書かれたのは正直驚きです。原作者とは言え小池氏の卓越した表現、語彙、構成力には舌を巻きます。ドラマという後ろ盾がなくても、漫画のストーリーがあれば十分作れるということでしょう。素晴らしい。
4.「ねがい」(江戸を斬るⅡ)
御三家・橋幸夫氏に続いて西郷輝彦氏の登場です。これも人気シリーズだった「江戸を斬る」パートⅡの主題歌、オープニングテーマです。「江戸を斬る」の2部は遠山金四郎を主人公のドラマですが、「遠山の金さん」シリーズのように最後に桜吹雪の刺青見せて解決みたいな活劇ではなく、より洗練された感じの構成です。若き日の松坂慶子氏も紫頭巾役で出演しています。
この曲はパートⅢ以降も引き続き使われますが、エンディングテーマになります。正直ドラマとは全くリンクしていないと思いますが、殊の外曲の出来が良いのです。作曲は巨匠いずみたく氏、作詞は再び登場山上路夫氏です。西郷氏の歌い方がくどくてそれも良いですね。
5.「桃太郎侍の歌」(桃太郎侍)
「桃太郎侍」は高橋英樹氏主演のシリーズです。山手樹一郎氏の原作小説がありますが、どちらかと言うと、ただの勧善懲悪の活劇の様相です。「ねがい」のように主演が歌手業を行っていると、その俳優が主題歌を歌うケースはままある事ですが、高橋氏は歌いません。代わりに主題歌を歌ったのは何と三波春夫氏です。その上、作詞まで三波氏です。ちょっとビックリです。作曲はヒットメイカーの平尾昌晃氏。この曲は確かに主題歌として書き下ろされたのは分かるのですが、三波春夫色が強いので、ドラマからは浮いています。でも、そこが面白いと考えましょう。
6.「大江戸捜査網・テーマ」(大江戸捜査網)
ここまでは全て主題歌でしたが、これはインストです。「大江戸捜査網」は1970年から14年にわたって放送された人気シリーズです。隠密同心というチームが悪を倒す活劇です。敵地へ向かう場面での「死して屍拾う者無し」っていうナレーションが沁みます。そのオープニングテーマがこの曲です。カッコいいです。今回ここで紹介する曲で一番好きですね。音楽は玉木宏樹氏です。まるでエルマー・バーンスタインの西部劇のテーマのような風格があります。変拍子、転調など構成も複雑で意匠が尽くされています。最高です。
7.「ながれ橋」(大江戸捜査網)
同じくその「大江戸捜査網」ではエンディングには歌が流れます。主演俳優の歌であることもありますが、一時期この「ながれ橋」がエンディングテーマでした。作曲はオープニング同様玉木宏樹氏。作詞は葉方八郎氏。葉方丹の名義で知られる作家、脚本家です。歌を歌ったのは若子内悦郎氏です。ちのはじめ名義で「はじめ人間ギャートルズ」の「やつらの足音のバラード」歌っています。このブログでも紹介しました。
この「ながれ橋」が最高なんです。特に歌詞「いろはにほへと ちりぬるわが身♩」って惚れ惚れします。今回、このブログで一番書きたかったのはこの曲です。と言うのも、これ名曲だけどデジタル化されてないのです。「大江戸捜査網」のサントラCDは結構出ているんですが、この歌は収録されていません。マスターが無いのかも知れません。また、ドラマエンディングで流れるのはワンコーラスですが、フルコーラス聴いた事ないんです。あるんでしょうか?あるならYouTubeなどにも上がることもあると思うので、最初から作られてない気がするんです。ですから、TVから取った音でワンコーラスでもいいから聴いて頂きたいという思いで紹介しました。
8.「江戸の黒豹」(新五捕物帳)
昭和の時代劇スターの一人、杉良太郎氏主演のドラマです。新五は岡っ引きの名前です。1977年から5年間放送されました。杉良太郎氏は上述の「水戸黄門」では初代の助さんでしたし、「大江戸捜査網」でも初代の主演でした。どちらも次は里見浩太朗氏でした。杉氏は歌手でもありますから、彼主演のドラマは大体彼の歌です。「江戸の黒豹」は正にドラマの為に書き下ろされたであろう素晴らしい主題歌です。作曲は杉氏の師匠、遠藤実氏。作詞はいではく氏でした。「北国の春」なんかが代表作かな。ドラマのオープニングにかかって、ボルテージ上げます。ちなみにエンディング「明日の詩」も杉氏の歌です。レコードとしてはこちらがA面です。
9.「暴れん坊将軍のテーマ」(暴れん坊将軍)
こちらは松平健氏主演のドラマです。1978年から25年、シーズン12まで放送された人気シリーズです。これはオープニングに流れるインストテーマです。シーズンⅧまで使われました。ロングランだけに多くの人の耳馴染みではないでしょうか。作曲は大御所菊池俊輔氏です。個人的には「仮面ライダー」の印象ですか。ちなみに松平健氏は歌も歌いますが、出番はありませんでした。と言うのも、ドラマには火消しの親方役で北島三郎氏が出演していたからです。エンディングテーマはずっと北島氏、オープニングもシーズンⅨから北島氏の歌になりました。彼の歌ったエンディングなら、一番は初代の「炎の男」が良いです。
10.「すきま風」(遠山の金さん)
再び杉良太郎氏の登場です。色んな俳優が演じた遠山金四郎ですし、何度もドラマ化されました。昭和の時代劇シリーズの中でも中心的存在です。その中でもこの歌は1975年の「遠山の金さん」の主題歌です。杉氏のシリーズは、毎回最後、遊び人の金さんが悪い奴らを叩きのめしてお白州での裁きになるのです。だが、悪党たちは色々言い逃れをします。弱き善人たちは「金さんを呼んで下さい。金さんに聞けば分かります」と言いますが、お白州に金さんはいません。悪党は「そんな奴どこにいるんだ」などと言っていると、奉行がキレて「黙って聞いてりゃいい気になりやがって」と啖呵を切って桜吹雪の刺青を見せます。これが遊び人の金さんと同じで、悪党も「遊び人の金さん=奉行」と悟って観念するという強烈なお約束展開、実に清々しいです。
「すきま風」は歌謡曲としてもヒットしました。作詞作曲は上述の「江戸の黒豹」と同じコンビです。ただ、この歌はドラマとはあまり関係ないように思えます。曲の良さで聴いてしまいます。
ちょっと長くなりました。今回はここまでです。
次回に続きます。
それでは、また。
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