ムー大陸です
前回に続き「ウルトラセブン」の音楽についてです。音楽を担当したのはクラシック音楽家の蒔田尚昊(まいたしょうこう)氏の別名義・冬木透氏です。その音楽はドラマ同様に実に素晴らしく、前回はその主題歌についてお話ししました。
今回は挿入歌、劇伴についてです。
まず、挿入歌と言えば、「ウルトラ警備隊」でしょう。「ウルトラ警備隊の歌」のクレジットの場合もあります。どちらが正式なのか?そこは重要ではありません。
「ウルトラ警備隊」
「ウルトラマン」にも「特捜隊の歌」がありました。それを受け継いだ形です。「ウルトラセブン」はヒーロー物としては2作目ですから、シリーズの音楽としての方向性を本作が決めた部分はあると思います。ここで地球人の防衛隊の歌を続けて作ったことにより定着、次作「帰ってきたウルトラマン」にも「MATチームの歌」が出来ました。「ウルトラ警備隊」はその地球人の防衛隊の歌の中で最高傑作に間違いないでしょう。主題歌とは違うタイプのアップテンポなマーチで、クラシックの香りがしますし、軍歌っぽいです。まぁ、ウルトラ警備隊も軍隊でしょうから。軽快だけど重厚なアレンジ、東京マイスタージンガーの歌も良いです。
更に特筆すべきは「ULTRA SEVEN」という挿入歌です。
「ULTRA SEVEN」
これは英語歌詞の歌です。出だしの「One Two Three Four One Two Three Four Five Six Seven ♩」の「Seven」の歌詞と、もう一つの歌詞「Ultra Seven♩」の「Seven♩」が重なるのです。企画としてはそれだけで、正直、英語歌詞も大したものではありません。しかし、劇中効果的に使われます。特にイントロ無しでいきなり「One Two Three Four 」から始まる形で使われたことから、それが後の挿入歌、劇伴に大きな影響を与えることになりました。「帰ってきたウルトラマン」では「ワンダバダバ ワンダバダバ♩」と呼ばれるスキャットに発展し、この手の劇伴をワンダバと呼ぶようになります。そのワンの大元は「One Two Three Four ♩」の「One」です。こちらは冬木氏とは思えない、むしろ、ジャジーな雰囲気です。幅が広い人です。英語歌詞は東京一氏です。何でもやりますね。
「Ultra Seven」のタイトルに反して劇中では大体ウルトラ警備隊が活躍する場面でかかっていました。この曲は是非間奏の部分で「ゲート オープン」という声が入るバージョンをオススメします。ちなみに歌っているのは主題歌と同じジ・エコーズです。
さて、劇伴はブリッジのような短い曲まで含めると300曲近いと思います。当然ですが、クラシック音楽をベースにした劇伴です。その中で最も印象的な一曲は「夕焼けの四畳半」と名付けられたディヴェルメントです。
「夕焼けの四畳半」
これは第8話「狙われた街」で大々的にフィーチャーされた楽曲です。もちろんインストです。メトロン星人がちゃぶ台の前に胡座をかき、「ようこそウルトラセブン」と言う有名なシーンにかかっていた美しい曲です。若き日のモーツァルトを思わせるような流麗なメロディとシンプルな構成。ヨーロッパのガーデンパーティーの佇まいを感じます。実相寺昭雄氏の演出が巧みで、工場地帯のドヤ街的風景、夕焼け、ラジオの放送、そこにこの音楽です。素晴らしい使い方でした。
「ウルトラセブン」の最終回は色々なエピソードと共に語り継がれ、今では伝説の様になっています。そのエピソードの一つが音楽です。クライマックスには冬木氏のサントラではなく、シューマンの「ピアノ協奏曲」を全面的にフィーチャー。特にモロボシダンの告白「アンヌ、僕は、僕はね、人間じゃないんだ、M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!」の直後のアンヌの衝撃の場面に差し込まれる激しいピアノの音は実に効果的です。
この演出は高く評価され、この最終回を伝説にした一つの理由と言えるでしょう。私もドラマとしては素晴らしい出来だと思うのですが、ただ、正直、クラシックの名曲をそのまま使うのってどうなのかと感じます。当然、著作権も無く、耳馴染みな名曲揃いですから、使い放題とも考えられますが、そこは冬木氏のサントラを使って欲しかったのが本音です。
第45話「円盤が来た」の回ではシュトラウスの「皇帝円舞曲」が使われたことがありましたが、あれはある種パロディにも見えました。でも、最終回のシューマンは違います。完全に意図した演出。つまり、冬木氏はこのシーンの音楽をシューマンに譲った訳です。シーンに合う曲が書けなかったのか、シューマンの方が相応しいと思ったのか、いずれにしても、含むところはあるように感じます。私は、上述のディヴェルメントを聴けば、最終回も十分冬木氏のサントラで行けたと思っています。伝説にケチをつけるつもりはありませんが、個人的にはそこは残念です。
「ウルトラセブン」の音楽は大変評価が高く人気もあります。前述のように冬木透氏の主題歌はウルトラシリーズ唯一です。その上、挿入歌も全て冬木氏の手によります。大変貴重です。多くのサントラ盤が発売されています。作品生誕40周年以降は5年毎に豪華な記念盤が出ました。究極的には50周年に出た5枚組「ウルトラセブン サウンドライブラリー」がいいと思いますが、番組で使われた曲を聴くだけで十分、主題歌の別バージョンなどに興味が無い人にはやや過剰とも思えます。また、45周年までの記念盤を持っている人にとっては殆ど重なってしまうシロモノです。
私の個人的オススメは「ミュージックファイル」のシリーズです。これはNo.1と2があります。これで劇伴はほぼカバー出来ます。主題歌、挿入歌のフルバージョンをいい音で聴きたい場合、昭和のウルトラシリーズの主題歌、挿入歌を集めたベスト盤がいいと思います。それなら、他の作品の主題歌も聴けますし。「ウルトラ・ソングブック」がコンパクトで良いと思います。
その他「ウルトラセブン メモリアルベスト」は平成の「ウルトラセブン」のサントラとの比較が出来ます。ただ、昭和のオリジナルシリーズだけというなら外して良いでしょう。
また、「ウルトラセブン」の音楽を交響詩にした「交響詩ウルトラセブン」という作品があります。良くまとまっていて素晴らしいです。コンサートも行われています。「ウルトラセブン」の音楽が好きな人は一度聴いてみた方がいいと思いますが、わざわざ購入するほどでは無いと感じます。私は番組内で流れた事に価値を感じる方なので。YouTubeなどに上がっているコンサートの動画で十分かと思っています。
是非一度聴いてみて欲しいですが、それより何より、ドラマを通して観て下さい。そうすれば、自然とサントラにも興味が湧くと確信しています。
それでは、また。
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