ムー大陸です
今回は「私が愛した郷ひろみ」の4回目、そして最終回です。
前回、シングル「誘われてフラメンコ」以降、大人路線を前にして迷走が続いているところまで話しました。「逢えるかもしれない」を出した時点で既に彼は20歳になりました。そうです、彼は当時の法律上も大人になったのです。となれば、自然とそういう歌を求められるようになります。引き続き、シングル盤のA面を追いかけながら、彼の活動を見ていきましょう。
⑯「恋の弱み」
演歌、カバーと迷走し、遂に筒美先生の普通のポップスに戻りました。ただ、この曲は割とロック色が強い作品です。彼のチームが迷走の末に出した大人路線への答えは、まぁ、普通ではありますが、ロックに求めたということでしょう。イントロのギターからかっこよく、これも彼のディスコグラフィの中でTOP10に入れるでしょう。近田春夫&ハルヲファンがカバーしています。オススメです。まぁ、オリジナルの方がいいですけど。そして、歌詞には「タバコふかし、焦ってしまう」とあります。そうです、歌詞の内容的にも大人アピールです。これで、何とか大人路線へ一歩踏み出した感じです。ただ、まだ歌唱に若干少年ぽさは残っています。それでも今の郷ひろみがこの歌を普通に歌っても違和感ないでしょう。さすがに初期の作品は大人っぽく歌い直すしか対応方法はないのですが、この後はそういうことはないです。
⑰「20才の微熱」
音楽的にはオルガンをアレンジに加えたブルージーなロックです。前作からのロック路線の継承です。サビとかはキャッチーでさすがに筒美先生です。しかし、遂に来ましたね、タイトル!「20才の微熱」とタイトルに20才と入れて大人アピール。この頃になると本人もチームも少し焦っていたのかも知れません。やはり、新御三家の二人と肩を並べて大人入りしたいという思いがあるでしょうから、だんだん大人アピールが強くなってきたように思います。個人的にはこの曲にもわずかに少年ぽさが残っていると思います。
⑱「あなたがいたから僕がいた」
1976年の8月に出したシングルです。つまり、この歌で年末の賞レースを戦います。この曲は前作までのロック色を薄めて、ポップス寄りになっています。作曲は筒美氏です。どこかザ・ホリーズの「バス・ストップ」に似ていると思いますが、確信犯でしょうか。歌詞も普通のラブソングです。つまり、何か特別なことをしなくても大人の歌になるようになったということです。私はこの曲以降過渡期は終わり、現在の郷ひろみになったと考えています。つまり、ここで大人の歌手になったのです。
ちなみに、昨年まで差をつけられていた野口五郎、西城秀樹は76年も大活躍でした。野口五郎は「針葉樹」(名曲!)で、西城秀樹は「若き獅子たち」(名曲!)で共にレコ大歌唱賞受賞(つまり、大賞ノミネート)。郷ひろみはそこには入れませんでした。しかし、同レコ大では大衆賞を獲得して、何とか面目を保ちました。
まとめますと、デビューから2年間、「男の子女の子」から「花とみつばち」までが黄金期、その後の約2年間「君は特別」から「20才の微熱」までが過渡期で、「あなたがいたから僕がいた」以降は大人期となり、現在の郷ひろみが出来上がります。
最初の話に戻りますが、
デビューから2年間の郷ひろみは、私にとって日本最高の歌手です。二人といない、二度と現れないであろう逸材でした。なので、是非皆さん聴いてみて下さい。今ではここで紹介したシングルはすべてアップルミュージックで聴けますから。
さて、ではその後の郷ひろみ、過渡期の彼は黄金期ほどの輝きはないと感じてますが、そこも初期郷ひろみの範疇に入れても良いと思います。「よろしく哀愁」をはじめ名曲も多数です。黄金期の後は過渡期へGOです。
大人になった郷ひろみは普通の歌手になってしまったのか?というと、そんなことはありません。大人になり、歌唱力もつき、ヒット曲の多さは新御三家随一かも知れません。なので、大人になった郷ひろみの方が歌が上手くていい歌手だという意見には全く同意しませんが、過渡期まで聴いた後には是非聴くことをオススメします。いい曲がいっぱいあります。歌手としての魅力は黄金期に劣りますが、ヒット曲が多く、好きな曲を並べれば、大人期が一番多くなります。
かなり一般的ではない偏った意見だと思うので、参考にはならないかも知れませんが、私の郷ひろみシングルTOP20(TOP10にしようと思ったら、少なかった)を書いておきます。よろしくお願いします。
1位「裸のビーナス」(黄金期)
2位「小さな体験」(黄金期)
3位「花とみつばち」(黄金期)
4位「よろしく哀愁」(過渡期)
5位「花のように鳥のように」(過渡期)
6位「恋の弱み」(過渡期)
7位「誘われてフラメンコ」(過渡期)
8位「若さのカタルシス」(大人期)
9位「セクシー・ユー」(大人期)
10位「魅力のマーチ」(黄金期)
11位「林檎殺人事件」(大人期)
12位「バイブレーション(胸から胸へ)」(大人期)
13位「ナイヨ・ナイヨ・ナイト」(大人期)
14位「マイ レディー」(大人期)
15位「真夜中のヒーロー」(大人期)
16位「寒い夜明け」(大人期)
17位「君は特別」(過渡期)
18位「男の子女の子」(黄金期)
19位「禁猟区」(大人期)
20位「ハリウッド・スキャンダル」(大人期)
こんな感じかな。7位まではほぼ不動です。次点は「洪水の前」です。結局、「2億4千万の瞳」や「哀愁のカサブランカ」「GOLDFINGER`99」とかは全然圏外ですね。どれもあまり好きじゃない。こうやって並べてみると1980年までの作品ですね、私が好きなのは。長々と郷ひろみについて書きました。ありがとうございました。
それでは、また。
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