ムー大陸です
前回からテクノポップを取り上げました。1950年代、電子楽器が発展すると、クラシック音楽家たちが勇んで電子音楽に手を染めました。その影響は60年代中盤以降ポップスの世界にも及びます。最初はその音色を取り込んでロックに彩りを添えていただけの存在でしたが、クラフトワークが登場し、ポップスの世界に電子音楽が誕生しました。
ただ、ここで彼らが作り上げたポップス版ミュージック・コンクレート、ポップス版電子音楽とロックやポップスに電子楽器で彩りを加えた音楽を明確に分けたいと思います。70年代電子楽器の影響は世界中に波及します。シンセを手にしたアーティストは、ある時はディスコ、ある時はロックにシンセの音をはめ込んでいきました。その中には多くの傑作もありました、60年代のビートルズがそうだった様に。そうしたシンセを大胆にフィーチャーした楽曲を「エレクトリック・ポップ」と呼びます。
よく日本ではクラフトワークと並び称され、初期テクノポップのアイコンとして語られるディーヴォですが、彼らは寧ろロックの電子音楽を作り上げたと言うより、アレンジとして電子楽器の音色を取り入れる事を強力に推進したと感じます。デジタルなパンクロックというイメージです。従って、エレクトリック・ポップの魁と考えています。70年代後半以降にヒットを放ったシンセを駆使したアーティストたち、例えば、Mだとかゲイリー・ニューマンなどに繋がっていくでしょう。
「satisfaction」 ディーヴォ
「Pop Muzik」 M
「VIdeo Kills The Radio Star」 バグルス
「Funck Town」 リップス.インク
「Cars」 ゲイリー・ニューマン
ただ、エレクトリック・ポップとかシンセ・ポップというのはロックやポップスにシンセを使ったという程度の話なのです。それはいくらでも時代と共に登場するものです。言ってしまえば、今流行りの音楽なんて全てエレクトリック・ポップなのです。ストリングスを使ったからと言って、ストリングス・ポップと言わない様に、それらはロックでありポップスと呼べば良いだけの話です。なので、私はディーヴォはパンクロックに位置付けていますし、例えば、デュラン・デュランの様な80年代以降のニュー・ウェイブ系のアーティストもパンクが名を変えてニュー・ウェイブになったものと考えています。従って、エレクトリック・ポップとかシンセ・ポップというのはジャンルとしては存在せず、曲のアレンジを示しているだけと思います。
「Save A Prayer」 デュラン・デュラン
繰り返しますが、クラフトワークは本物のエレクトリック・ミュージックなので、単なる「曲のアレンジを示す」言葉で括りたくない。私はエレクトリック・ミュージックもしくは電子音楽と呼んでいます。まぁ、呼び名だけの問題ですけど、そこは個人的なこだわりです。
クラフトワークの影響はこの日本にも及びました。その影響を受けつつも、独自の電子音楽を作り上げたのがイエロー・マジック・オーケストラ(以下YMO)です。実はポスト・クラフトワークの中で、ロックにシンセを取り入れただけではない、本当の電子音楽はYMOだけだと考えています。鍵盤を担当した坂本龍一氏がクラシック畑というのも大きく影響しているでしょう。一方で細野晴臣氏と高橋幸宏氏のリズム隊が手弾きなのが驚きです。つまり、構成としては、従来のロック、ポップスにシンセを乗っけた、上述のエレクトリック・ポップと同様の構成でありながら、インストを基本にヴォーカルさえも楽器的に全体の中に組み込まれて、見事に電子音楽が貫かれています。特に初期においてはそれを意識してやっていたと感じます。彼らの演奏を聴いていると、電子音楽は必ずしも無機質でなくてもいいと感じます。クラフトワークから教えられたものすら覆す力があります。
そして、YMOにはポップもありました。例えば「東風」「中国女」「Technopolice」「Rydeen」どれもキャッチーでポップです。クラフトワークが実現し得なかった、電子音楽でありながら、ポップである事を両立したのです。上述のように、従前のロックやポップスにシンセを乗っけたものは、ただのアレンジであって、わざわざエレクトリック・ポップと呼ぶ必要は無いけれど、YMOが生み出した音楽こそエレクトリック・ポップと呼ぶに相応しいものです。
「東風」
「Technopolice」
「Rydeen」
日本では彼らの音楽をテクノポップと呼びました。日本で生み出された造語です。クラフトワークも来日した際、テクノポップという言葉を知ったと聞きます。アルバムのタイトルにしようとしたとも言われています。確かバグルスにもそんなタイトルの曲があったと思います。恐らく、海外のファンたちはYMOをエレクトリック・ポップ、シンセ・ポップと呼んだ事でしょう。
ですが、上述のように海外では普通のロックバンドがシンセを使えばエレクトリック・ポップと呼ばれるのです。だから、私はクラフトワークをエレクトリック・ミュージック、電子音楽と呼びました。同じ理由で、つまり、他のエレクトリック・ポップと差別化する意味も込めて、そして何より、その呼び名の方が好きなので、YMOをテクノポップと呼んでいます。
一般的にはエレクトリック・ポップ=テクノポップで、日本ではエレクトリック・ポップの事をテクノポップと呼ぶという認識です。クラフトワークもYMOも分類としてはエレクトリック・ポップで、日本ではテクノポップ。
私の個人的な使い分けは異なるのです。
クラフトワーク=電子音楽(エレクトリック・ミュージック)
YMO=テクノポップ
その他のシンセでアレンジしたポップス
=エレクトリック・ポップ
ただし、わざわざそう呼ぶ必要はあまり無い
つまり、私の中ではテクノポップとは、
YMOの音楽を呼ぶ名称
です。
YMOの後、日本ではテクノ御三家と呼ばれたアーティストが登場しました。彼らはテクノポップではないのか?はい、個人的にはテクノポップと呼んでいません。ヒカシュー大好きですが、テクノポップと思った事は一度もありません。エレクトリック・ポップでもないかな。普通に素敵なロックバンドに映ります。P-MODEL、プラスチックスはエレクトリック・ポップと思っています。
中田ヤスタカ氏以降第二次テクノブームと呼ばれた時期がありましたが、あれも普通にエレクトリック・ポップです。電子楽器をアレンジに使っているだけです。
「ガラスのダンス」 ヒカシュー
もう一度言います、
テクノポップはYMOの音楽の名前です。
つまり、この世にYMO以外テクノポップはありません。
はい、すみません、これまで他人から同意された事が無い極論と重々承知しております。
それでは、また。
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「チャイナタウン」
「呪い歌」