ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

フォークロックに栄光あれ①

ムー大陸です

 

 

以前、「Hotel California」を取り上げた際に、少しだけフォークロックについて触れました。別途話題にするとも言いました。今回はフォークロックについてです。

フォークロックとは1960年代半ばに起こったロックのムーブメントです。ジャンルの一つと捉える事も出来ます。

 

ハードロックとヘヴィメタルの話の時に言いましたが、ロックとは元々激しい音楽なのです。今となってはそれほど激しいとは思えない50年代のロックンロールも当時はハードだった。つまり、ハードロックとは重ねた言い回しなのです。

それでもハードと言うだけの理由があったのですが、では、ソフトロックはどうでしょう。元々激しいはずのロックがソフト?これは矛盾です。本来はおかしいのです。しかし、ロックは激しい音楽故にソフトを求めてその幅を広げる必要があったのです。ポップミュージックのメインに居座るにはより多くのファンを獲得しなくてはなりません。当然のように耳馴染みのいいソフトな部分を拡大する事をどのバンドも考えます。何とかロックをソフトにしようと意識した訳ではありませんが、そういう方向性を模索するアーティストが自然と現れたと考えましょう。

その際、ロックをソフト化する方法は二つあります。

①ロックではないソフトな音楽をやる。

これは誰もがやる手法です。ビートルズの「Yesterday」を考えると分かりやすいです。ビートルズはロックバンドですが、「Yesterday」だけ聴けば、ロックではありません。エルヴィスの「Love Me Tender」も同様です。どんなバンドも大抵はバラッドの一曲くらいやります。そうやって音楽性の幅を広げるのです。

 

しかし、別の方法があります。

これがロックそのものをソフトにする。

別の音楽にせず、ロックのままソフトにするのです。あくまでバンドの構成にある音だけで、エレキギター2本、エレキベース1本、そしてドラムのミックスでソフトを目指すのです。

これもビートルズで考えると分かりやすいです。例えば、「All My Loving」や「Ask Me Why」などを思い浮かべて下さい。ただ、ビートルズの場合、その卓越したソングライティングでソフトを実現したのですが、一部のミュージシャンたちはそのヒントをフォークミュージックに求めました。つまり、

 

「アコースティックギターで演奏されていたフォークをいかにエレキギターで表現するか」

 

ここに突破口を見出したのです。

ピアノなどではなく主要楽器のエレキギターでやる事が重要です。

繰り返しますが、やっている時はソフトを求める意識はないでしょうけど。

 

具体的には60年代半ば当代随一のフォークシンガーであるボブ・ディランの楽曲をいかにロックバンドにはめ込むか。もっと露骨に言うと、

 

「ボブ・ディランの楽曲をいかにビートルズ風に演奏するか」

 

を模索したのです。これこそがフォークをロックにする方法論でした。

 

それを実行したのがバーズです。

彼らの1965年の作品「Mr.Tambourine Man」が正にその出来上がりです。アコギとハーモニカによるシンプルな構成の楽曲、ボブ・ディランのくせのある歌い回し、舌鋒鋭い歌詞、執拗なライム、これらを見事にバンドサウンドに盛り込みました。ギターサウンド的には12弦ギターを使用したのは素晴らしいアイディアでした。後々まで多くのバンドが参考に出来る仕上がりです。全米1位を記録するヒットとなりました。

 

「Mr.Tambourine Man」  バーズ

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「Mr.Tambourine Man」  ボブ・ディラン

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続けてディランの「All I Really want To Do」を同じ手法でロックにしました。こちらはそこまでのヒットはしませんでしたが、最高です。私は「Mr. Tambourine Man」よりこちらの方が好きです。

「All I Really want To Do」  バーズ

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「All I Really want To Do」  ボブ・ディラン

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さて、そのバーズの1年前の1964年にアメリカの正に伝統的俗謡「The House Of Rising Sun(朝日のあたる家)」をアニマルズがロックにしました。これが全米1位の大ヒットとなりました。アニマルズ盤の基礎となっているのはボブ・ディラン盤でしょう。これは以前「The House Of Rising Sun」を取り上げた時にお話ししました。つまり、これもボブ・ディランをいかにロックにするかという試みです。ただ、アニマルズがフォークロックにカウントされないのは、オルガンの力が大きいからだと思います。とは言え、ギタープレイも十分フォークをロックにする手法として重要視していいと思います。フォークロックと呼ぶ必要は無いというか、彼ら自身音楽性からしてそう呼ばれたくないでしょうけど。

「The House Of Rising Sun」  アニマルズ

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一方で、カバーされたボブ・ディランはというと、エレキギターを手に、バンドを引き連れてステージに上がるようになります。フォークファンはそれを苦々しく思い、ディランをステージから引きずり下ろしました。

インテリを気取るフォークファンにしてみれば、フォークの貴公子が野蛮で下品なロックに手を染めるなんて、その時は裏切りとしか映らなかったでしょう。でも、今振り返るならそうではありません。フォークはどうしてもアコースティックギターの弾き語り、やっても数本アコギのアンサンブルとハーモニカ、そこに歌とハーモニーという構成。音楽的バリエーションの限界があります。ディランもビートルズを聴いて、自らの音楽の幅を広げるにはロック、というよりバンドと考えたのは間違いないでしょう。名曲「Like A Rolling Stone」はその答えです。

「Like A Rolling Stone」  ボブ・ディラン

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逆に考えれば、フォークをロックにしたのではなく、エレキギターで演奏したフォークなのです。現にフォークロックをエレクトリック・フォークと呼ぶこともあります。つまり、フォークの側から見ても発展と考えて良いのです。

実はフォークロックとはその名の通り、ロックはフォークを取り入れ、フォークはロックを取り入れたのです、その仲介役はエレキギターです。ロックはその主要楽器であるギターでソフトな表現を手に入れ、ポップミュージックの主役にふさわしい懐の深さを手に入れました。一方、フォークは新しい時代を生き抜くスタイルと幅広い音楽性を手に入れたのです。

長くなりました、続きは次回。次回は1966年以降の動きを見ていきましょう。

それでは、また。

 

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