ムー大陸です
今回はタイトル通り映画「仁義なき戦い」シリーズの音楽です。ご存知の方も多いと思いますが、先ずは「仁義なき戦い」に触れていきます。
「仁義なき戦い」予告編
映画の原作となったのは1972年に飯干晃一氏が書いた「広島やくざ・流血20年の記録 仁義なき戦い」というノンフィクションです。タイトル通り戦後の広島で起こった「広島抗争」の内側を赤裸々に描いたもの。ノンフィクションですから、登場人物は有名人も含め実名で記されており大反響を呼んだ作品です。
そもそも、この広島抗争にやくざとして渦中にいた美能幸三氏が獄中で書いた手記が大元であり、それ故生々しく信憑性も高いものでした。そこに飯干氏が連載当時の状況や解説を加え、「週刊サンケイ」で連載されると、大人気となりました。
そのノンフィクションを映画化したものが映画「仁義なき戦い」です。映画公開は1973年1月ですから、人気ルポにすぐ飛びついた感が滲み出ていますね。映画の方は実名ではなく、少しもじった名前に変わっています。ただ、原作を読んでいなくても、見る人が見れば直ぐに分かります。主人公は広能昌三となっていて、当然、これは美能幸三氏です。
人気の連載にあやかってヒットを飛ばそうと急いで作られたのかも知れませんが、そこは深作欣二監督の手腕でしょうか、それとも出演者達の熱演でしょうか、あるいは、独特の台詞回しによるものか、いや、それら全てのおかげで、映画は出色の出来となります。やくざをヒーロー的に描いた従来の任侠映画と一線を画して、泥臭くみっともない姿で生き、そして死んで行くのです。それがリアルです。上述のように主人公は広能という男ですが、他の登場人物も皆個性的で生き生きとしています。むしろ群像劇と言っていいでしょう。
映画は大ヒットし、シリーズ化します。2年間に「仁義なき戦い 広島死闘篇」「仁義なき戦い 代理戦争」「仁義なき戦い 頂上作戦」「仁義なき戦い 完結篇」と合計5作が公開され、大ヒットしました。後半になるにつれて群像劇としての色は強くなり、また、抗争の記録としての意味合いも濃くなりますが、時折、青春映画のような一面を見せたりするので驚かされます。ジャンルとしてアクションに分類されることがありますが、そこは期待しない方がいいでしょう。
私は、意外かも知れませんが、「完結篇」好きですね。何か答え合わせしている感じがあります。最初から出ていた田中邦衛氏演じる槙原政吉が死んじゃうんです。槙原は「完結篇」が最高です。台詞全部良い。また、最終的に広島をまとめる松村保役の北大路欣也氏も良い。新興勢力、世代交代がよく表れていました。
さて、本日のテーマです。シリーズを通して音楽を担当したのは津島利章氏です。作品ごとにサントラも出ていますし、アップルミュージックなどで配信されているので聴けます。とは言え、個々の作品毎に大きなサウンドや方向性の違いはありません。基本的には強烈なブラスと低音のギターのリズムを駆使したもの。オーケストラではなくバンドの音にブラスという構成です。これが雑多な戦後の広島の風景の映像と重なると実に味わい深いのです。私はあのブラスの音を聴いただけで原爆ドームの白黒写真を思い浮かべてしまいます。
「仁義なき戦いのテーマ」
映画の世界には素晴らしいサウンドトラックが数多く存在します。ただ、シリーズを通して一つのテーマ曲が顔になる例はそう多くはありません。個人的な意見として、世界の「シリーズの顔テーマ」の御三家は、「007」シリーズの「James Bond Theme(ジェームス・ボンドのテーマ)」、「ロッキー」シリーズの「Gonna Fly Now」、そして、「スター・ウォーズ」シリーズの「Main Title」の3作品です。まぁ、「ミッション・インポッシブル」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」など異論もあるかも知れませんが、そこは私見という事でお許し下さい。
どの作品も曲をちょっと聴けば作品が思い浮かぶのは言うまでもありませんが、例えば、この中で「スター・ウォーズ」の「Main Title」は、最初のオーケストラ・ヒットを聴いただけで「スター・ウォーズ」の世界に飛んで行くでしょう。
「スター・ウォーズのテーマ」
「仁義なき戦い」のメインテーマは正にそのレベル。スタイルの問題ですが、最初の一撃でのインパクトは「007」や「ロッキー」を超えているでしょう。
ちなみに日本の「シリーズの顔テーマ」の御三家は「仁義なき戦い」の他「男はつらいよ」、「ゴジラ」と考えています、いや、これもあくまで個人的見解です。
「男はつらいよ」のイントロも「スター・ウォーズ」レベルで映画に引き摺り込みますが、あれは主題歌、歌ありですから、ちょっとテーマ感は薄いです。また、「ゴジラ」は見事なテーマですが、タイプ的には「James Bond Theme」に近いかなと感じます。いずれ「ゴジラ」シリーズの音楽も取り上げたいですね。
つまり、「仁義なき戦い」は日本で最もインパクトの強いテーマ曲、最初の一音で映画の世界に引き摺り込む最高の顔です。世界を見渡してもこのテーマと伍していける一撃インパクトを持つテーマは「スター・ウォーズ」ただ一曲。まぁ、あくまで個人的な意見です。
そもそも映画がシリーズ化する事が簡単ではありません。そして、必ずしも顔となるテーマがあるとは限りません。それは作風として必要が無い場合もあるでしょう。ビジネスとして主題歌を作品毎に作りたいということもあるかも知れません。シリーズ化の過程で音楽担当が変わってしまうケースもあります。そこら辺を全て通り抜けて、シリーズの顔になったテーマ、その上、最初の一音で心を持っていくなんて離れ業は奇跡と呼びたいです。
是非、映画5作品楽しんで下さい。サントラ聴いても面白いですが、やはり、この音楽は映画の中で聴きたいです。いや、まぁ、それも個人的な意見ですが。
それでは、また。
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