ムー大陸です
私のお気に入りの歌謡曲をオススメするビバ!歌謡曲のコーナーです。遂に30回目となりました。皆さんのお陰です、ありがとうございます。さて、30回目ということで、今回は松田聖子氏を取り上げようと思います。前に一度彼女のセカンドアルバム「North Wind」を丸々一枚取り上げたことがありました。それ以来です。今回はシングルヒット、
「ピンクのモーツァルト」
です。
前回、「North Wind」を取り上げたのは、松田聖子氏の場合、彼女が本当に歌謡曲だったのはあのアルバムまでという強い思いがあったからです。シングルで言うと、「チェリー・ブラッサム」以降、更に松本隆氏が作詞となった「白いパラソル」以降、そのサウンドは大きく変わります。従来の歌謡曲とは一線を画すシティポップとなります。松本隆氏が常時総合的なバックアップに入ったことから、彼の人脈によりに松任谷由実、細野晴臣、大瀧詠一といった作曲陣が参加します。
松本氏はユーミンを誘う時「ライバルに曲を書いてみないか」と言ったそうです。本人談です。つまり、松田聖子氏のライバルはユーミンなのです。決して同世代のアイドル、中森明菜氏、河合奈保子氏などではないという事です。
J-POPとは何かという考察はまたいつかやってみたいと思いますが、一応そのコンセプトは明確です。かつては対立軸であった歌謡曲とニューミュージックは共にその範疇に入り、歌謡曲に含まれていた演歌は除外されました。日本の流行歌から演歌を除いたものが基本的にJ-POPです。
ただ、歌謡曲とニューミュージックの間には大きな違いがあります。それはサウンド面での話もあるでしょうが、それ以前にコンセプトの問題です。歌謡曲は作曲家、作詞家、歌手という職業人の分業体制だったのに対し、ニューミュージックはシンガーソングライターです。ニューミュージック側としては「自ら作って自らその心を歌うから本物」という面が根本にあるのです。
だからこそ、例えば、ニューミュージックのミュージシャン達がソングライターとしてアイドルの楽曲を提供する様になると、それはあくまで歌謡曲の分野に踏み込んだだけであって、出来た作品は歌謡曲なのです。吉田拓郎氏がキャンディーズに提供した「やさしい悪魔」もユーミンが三木聖子氏に書いた「まちぶせ」も歌謡曲です。
でも、松田聖子氏に関してはそうじゃない。ユーミンと同じところにいると少なくとも松本隆氏は考えているのです。もう彼女は男性ファンから熱い視線を注がれるだけの存在ではなく、性別や年齢を超えて憧れの対象となる歌手になるという事です。歌を通して生き方や恋愛観にまで影響を与えるある種のカリスマです。自ら曲を作るというニューミュージックの根本を満たしていないのに、卓越した表現力と歌唱力だけでニューミュージック側に行ってしまう、そんな歌手だという事です。あたかもニューミュージックのアーティスト間のやり取りのように、まるでいつもは自分で曲を書いているけど、今回は提供されたの曲を歌うといった佇まいです。例えば、竹内まりや氏が加藤和彦氏から楽曲提供を受けたようなイメージで。それも、もちろん、アイドルのまま、歌謡界の住人のままでです。不思議です。その上、その後にはソングライティングを手掛ける様になりますから、イメージが交錯しますね。
呼び名はどうでもいいと思いますが、分かりやすいと思うので、やってみましょう。
例えば、松任谷由実氏はJ-POPであり、ニューミュージックですが、歌謡曲ではないし、アイドルでもない。吉田拓郎氏も同様です。
山口百恵氏はJ-POPだけど、ニューミュージックではない。歌謡曲でアイドル。
でも、松田聖子氏は全部なんです。J-POPで、ニューミュージックで、歌謡曲で、アイドル。別の言い方をすると、アイドルのままアーティストになったってとこでしょう。稀有な存在です。
さて、それはどんなサウンドかと言えば、作家陣を見れば一目瞭然。日本のロックを創生したはっぴぃえんど。その中にあって日本語ロックの礎を築いた松本隆氏。バンドのリーダーであり、後にYMOでもテクノポップを開拓した細野晴臣氏。あるいは、ニューミュージックの中にあっても、フォーク系に対するオシャレなアンチテーゼとして登場したユーミン、この辺りが聖子氏の音楽的ブレインの中心です。徹底的に洗練された音です。もちろん、聖子氏の声、歌唱力、歌い方、それらあっての話です。
例えば、山口百恵氏の場合、宇崎竜童・阿木燿子コンビの継続的なバックアップを受けていました。宇崎竜童氏もニューミュージックです。ただ、彼の場合、自身の音楽をカタカナ演歌と呼ぶくらいそのサウンドは歌謡曲寄りであり、和のテイストを含みます。それが彼の味です。あくまで、彼は山口百恵作品について歌謡曲を作っているつもりだったでしょう。実際、彼女のライバルは桜田淳子氏やピンクレディーだったし。
でも、松田聖子作品については、恐らく松本氏も作曲家陣もそうではない何か、ニューミュージック、シティポップ呼び方は色々でしょうが、そういうものを作っている明確な意思があったでしょう。
恐らく、70年代なら、彼らも自分の事を優先する気持ちが強かったでしょう。しかし、80年代になって彼ら自身のサウンドの追求も成功を納め、年齢的にもある程度落ち着いた時期だと言えるでしょう。
そんな時に現れたのが松田聖子氏だった。
彼女は歌謡曲とニューミュージックの融合点、J-POPの初の体現者、運命の歌手です。
私の中ではそんな位置付けです。
そんな彼女ですから、名曲は多い。
今回選んだのは「ピンクのモーツァルト」。
他の曲でも良かったのですが、とりあえず、はっぴぃえんどのコンビによる一曲と思い、一番好きなこの曲を選びました。いや、タイトルからして素敵です。サウンドは洗練の極み、歌声の軽やかさは尋常じゃありません。聖子氏の歌声にはいつも驚かされます。新曲を聴くと、「いつもの聖子氏の声だ」という思いと「これ本当に松田聖子?」という戸惑いが混ざり合います。「ピンクのモーツァルト」は正に出だしからそうです。
「ビッグ・ウェーブが砕けたら華やかな九月」
って意味はよく分かりませんが、好きです。
それでは、また。
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