ムー大陸の音楽探検

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ビバ!歌謡曲29〜「太陽がくれた季節」

ムー大陸です

 

 

私のお気に入り歌謡曲を紹介、オススメしていくビバ!歌謡曲のコーナーです。今回は、

 

太陽がくれた季節

 

です。

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これはドラマ「飛び出せ!青春」の主題歌です。1965年の「青春とはなんだ」から始まる東宝の学園青春ドラマシリーズの第6弾が1972年の「飛び出せ!青春」です。そもそも「青春とはなんだ」は石原慎太郎氏の小説で、石原裕次郎氏主演で映画化されました。それを夏木陽介氏主演でテレビドラマ化したのです。人気が高かったため、シリーズ化、「これが青春だ」「でっかい青春」「進め!青春」「炎の青春」と作られました。さすがに飽きられて、一旦打ち止めとなります。が、終了から2年後、松竹制作、森田健作氏主演の「おれは男だ!」が人気となった事から、東宝は学園青春ドラマシリーズを復活させ、村野武範氏を主演に迎えます。それが「飛び出せ!青春」です。

シリーズは期間にして7年、作品数で6作ですから、監督も出演者も変わっていきますが、一人だけずっと関わり続けた人物がいます。音楽を担当したいずみたく氏です。彼は劇伴及び主題歌を全て担当しています。「青春とはなんだ」「これが青春だ」「でっかい青春」の3作は布施明氏が主題歌を歌いました。そこそこ知られた歌ですが、大ヒットしたわけではありません。その後の2作は全く知られてもいません。

「これが青春だ」  布施明

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なので、この曲もヒットすると大きな期待があった訳ではないでしょう。作詞から、いずみたく氏と共にずっと関わって来た岩谷時子氏が外れましたし、歌ったのはいずみたく門下の新人青い三角定規なるフォークトリオです。それでもヒットしたのは、やはり、いずみたく氏のメロディにフックがあったからでしょう。さすが巨匠です。青い三角定規はこの1曲でレコ大新人賞、紅白出場を果たしました。

 

作詞は山川啓介氏になりました。前任の岩谷氏ほどではありませんが、巨匠です。ゴダイゴの「銀河鉄道999」、岩崎宏美氏の「聖母たちのララバイ」などが代表作でしょうか。

歌詞は青春を歌います。恋愛を除いた青春です。青春は今も昔も流行歌の一つのテーマです。その表現の方法は変わりますし、選択するボキャブラリーも時代によって異なりますが、今もそれは生き続けるテーマです。

ただ、学園青春ドラマシリーズの主題歌は青春の歌の一種ではありますが、より厳密に言えば、「青春ドラマの歌」と呼ぶのが相応しいでしょう。「青春の歌」はもう少しリアルです。各々の感じる若さ故の悩みや喜びを歌います。でも、「青春ドラマの歌」はあくまでドラマの中の青春を歌にした感じです。実にステレオタイプで、都合が良くて、ありきたりな、それでいて「そんな事あるか」とツッコミたくなる非現実性を帯びています。

だからこそ、「青春ドラマの歌」は貴重なんです。「青春の歌」は形を変えて生き続けます。でも、「青春ドラマの歌」はそうはいかないんです。だって、今そんな青春ドラマ自体がありません。その主題歌もドラマと共に消えてしまいました。もうこのジャンルに新曲は登場しないと思います。時代の移ろいの中で閉鎖したジャンルです。

それでは、現在ある「青春ドラマの歌」の中で最高傑作は何かと問うたら、私は間違い無く「太陽がくれた季節」だと答えるでしょう。閉じたジャンルの最高傑作ですから、この曲が頂点です。

 

美しいメロディ、爽やかな歌声、ハーモニーは古臭いが許容範囲です。そして、何より青春ドラマ的お決まりフレーズを注ぎ込んだ歌詞は逸品です。

「君も今日からは僕らの仲間」

「飛び出そう 青空の下へ」

「飛び込もう 青春の海へ」

「燃やそうよ 二度とない日々を」

凄いですね、「仲間」「青空」「二度とない」あたりは必須です。

そして、この歌は明快に答えを出します、

「青春は太陽がくれた季節

もちろん、「太陽」も必須ですね。

青春っていうのは「太陽がくれた季節」なんだ。正直、意味不明ではありますが、必須ワードをまとめると、「太陽が燃える青空の下、仲間と二度とない日々を過ごす、それが青春だ」と言ったところです。充分ニュアンスは伝わります。もっと捻くれた青春もあるでしょう、そういう歌の方が私なんかにはリアルですが、それは青春の歌で聴けば良いのです。これは「青春ドラマの歌」なので、守備範囲が違います。「青春ドラマの歌」ならばこの歌が一番です。

 

一つ気になるのは気になるのは、

太陽がくれた季節」と聞くと、普通は「太陽が暮れた季節」と思います。少なくとも私は長いことそう思っていました。ただ太陽が暮れてしまうと黄昏ですから、「青春なのに黄昏ちゃうの?」と疑問に思っても良かったのですが、受け入れていました。多分、青春ドラマには夕陽に向かって走ったり、叫んだりするイメージがあるからだと思います。

あらためて書くと、

「太陽が呉れた季節」を意味する訳です。

つまり、太陽が与えてくれた、The Sun Gives Usという事です。これは誤解させますよね。ただ、漢字で表記するのも不自然です。仕方ないのかな、分かりにくいのもとそこは諦めましょう。

 

この「飛び出せ!青春」の次にシリーズ第7弾「われら青春!」が放送されます。主演は中村雅俊氏です。そこでもいずみたく氏は大活躍し、中村氏の歌った挿入歌「ふれあい」は大ヒット、いずみたくシンガーズの歌ったオープニングテーマ「帰らざる日のために」も「青春ドラマの歌」として名曲で、「太陽がくれた季節」に次いで二番に私は置いてます。しかし、挿入歌がヒットしたにも関わらず、ドラマ自体は人気が低調で半年で打ち切りとなり、約10年近く続いたシリーズは終わります。

「ふれあい」  中村雅俊

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「帰らざる日のために」  いずみたくシンガーズ

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1978年に同じ中村雅俊氏主演で「ゆうひが丘の総理大臣」が放送されます。これは漫画原作のドラマ化です。その後もポツポツ学園青春ドラマは制作されますが、1979年に「3年B組金八先生」が放送されて、学園モノの主流はノー天気な青春ものから、よりリアリティを巧みに取り入れた内容に移っていった印象です。それに伴い主題歌もそういうものに変わっていきました。主題歌の「贈る言葉」には「太陽」も「青空」も出て来ませんし、「青春」もありません。でも、あれは大人からの言葉であっても青春の歌だと思います、今でも卒業の際には歌われるし。でも、「青春ドラマの歌」ではありません。

それでは、また。

 

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