ムー大陸です
ユーロビートの話も3回目、今回が最終回です。そもそもユーロビートに3回も費やすのはどうかと思わなくもないですが、ポップス好きならここは熱く語るべきと思い、長々とやらせて頂きました。
さて、最終回は、
日本でカバーされたユーロビート
です。
日本人はユーロビート好きだと私は信じています。日本では、80年代後半の人気最盛期が去った後も、パラパラブーム、アニメ「頭文字D」の音楽、そして、ゲーム「Dance Dance Revolution」などで度々人気となっています。第1回でも書きましたが、ユーロビートは世界的には死語であるにもかかわらずです。
そうした息の長い人気は何より、ユーロビートの全盛期に日本でカバーが数多く発売され、それが大ヒットとなり、みんなから愛されたというのが原点になっているのは間違いないでしょう。そうしたカバーヒットこそ日本人がユーロビート好きの証拠に他なりません。
さて、ユーロビートの日本語カバーの嚆矢は何と言っても1985年にヒットした荻野目洋子氏の「ダンシング・ヒーロー」です。第1回でお話しした様に、これはアンジー・ゴールドの「Eat You Up(素敵なハイエナジーボーイ)」のカバーです。これがよく出来たカバーで、オリジナル以上のセンスのいいアレンジです。この後に続く数多くの日本語カバーがオリジナルを凌駕するものが多いのは、オリジナルのアレンジが画一的で今ひとつなものが多いのと、この曲の成功体験から来ている面はあるでしょう。この1曲で荻野目氏はトップシンガーに躍り出ます。彼女は歌唱力もあって、この後日本人の筆によるユーロビート系の歌、「フラミンゴ in パラダイス」「Dance Beatは夜明けまで」「六本木純情派」を連続でヒットさせます。順調に活躍の幅を広げ日本を代表する歌手の一人に成長しました。
ユーロビートが彼女の人生を変えたというのは決してオーバーではありません。ユーロビートを歌っていた当時に彼女が出したアルバム「ノンストッパー」は名盤です。「ダンシング・ヒーロー」はもちろん、上述のヒット曲に加えて、「Venus」や「CHA-CHA-CHA」の荻野目バージョンのカバーが聴けるので必聴です。
1986年、その「Venus」(日本語版は「ヴィーナス」)を日本語カバーしてヒットさせたのが長山洋子氏です。
「ヴィーナス」 長山洋子
SAWの「Venus」自体カバーですから、カバーの日本語カバーですね。こちらはほぼSAWバージョンまんまのアレンジでした。あれはSAW盤の出来が素晴らしいので、それで正解でしょう。彼女もこの1曲で人気となり、次の曲もユーロビートの「You'er My Love You'er My Life 」(日本語版は「ユア・マイ・ラヴ」)でした。ドイツのシンガー、パティ・ライアンのヒットです。いい線を突いたと思います、そこそこのヒットでした。その後、彼女は演歌歌手へ転身、紅白歌合戦にも出場を果たしています。どうでしょう、彼女もユーロビートで運命が変わったと言えるのでは。
「ユア・マイ・ラヴ」 長山洋子
「You`er My Love You`er My Life」 パティ・ライアン
長山氏の「ヴィーナス」と同じ年に大ヒットしたのが「CHA-CHA- CHA」です。オリジナルはフィンツィ・コンティーニというイタリアのアーティストです。これがユーロビートなのかという疑問はあると思います。確かにサウンド的にはSAWなどとは趣が異なります。ただ、あれこそイタロ・ディスコという感じで、ユーロビートの源流の一つで、一応ユーロビートに入れてもいいと思っています。wikiなどでもユーロビートのアーティストとしてフィンツィ・コンティーニを掲載しています。
これをカバーしたのが石井明美氏です。彼女はこれがデビュー曲で、いきなり大ヒットですから、正にシンデレラストーリーのようです。しかし、デビュー曲の印象が強過ぎて、その後の展開は難しかった様です。カオマの「Lambada」のカバーも歌ってました。ちなみにカオマはフランスのアーティストですが、「Lambada」は南米の音楽なので、ユーロビートではありません。
「Cha-Cha-Cha」 フィンツィ・コンティーニ
実はこの年もう一曲触れておきたいヒット曲があります。それが中山美穂氏の「WAKU WAKUさせて」です。これはカバーではありません。ただ、似てるんですよね、ラナ・ペレイの「Pistol In My Pocket」という曲に。筒美京平先生らしい拝借かなと感じます。私どっちも好きです。「WAKU WAKU させて」の方がアレンジは洗練されてます。
「WAKU WAKU させて」
「Pistol In My Pocket」
更に翌1987年には「CHA-CHA-CHA」を主題歌にしたドラマシリーズがカバー・ガールズの「Show Me」のカバーを使います。それを歌ったのが森川由加里氏でした。彼女もいきなり人気者に。
「ShOW ME」 森川由加里
「Show Me」 カバーガールズ
同年、Babeという女性デュオがマイケル・フォーチュナティの「Give Me Up」のカバーをしています。これもそこそこヒットして、彼女たちも随分と有名になりました。
「Give Me Up」 Babe
ユーロビートは幾人かのシンガーに幸運をもたらして来ました。ただ、それ以上に上手く行かなかった例が多くあります。個人的にもう少し売れて欲しかったものを挙げますと、勇直子氏の「BOOM BOOM BOOM」(ポール・レカキスの「Boom Boom」のカバー)、和田加奈子氏の「ラッキー・ラヴ」(カイリー・ミノーグの「I Should Be So Lucky」のカバー)、レモンエンジェルの「第一級恋愛罪」(バナナラマの同名曲のカバー)あたりですね。当時のユーロビートには無名シンガーを一気に人気者にする力がありましたから、みんな色々挑戦していましたが、やはり明暗はあります。
「Boom Boom」 ポール・レカキス
「ラッキー・ラヴ」 和田加奈子
「第一級恋愛罪」 レモンエンジェル
さて、ユーロビートの日本語カバー、トリはやはり、このデュオ、Winkです。彼女たちも中々売れず、1988年サードシングルに「愛が止まらない〜Turn It Into Love〜」でカイリー・ミノーグをカバーします。オリジナルはシングルではありません、Winkのスタッフの目の付け所が素晴らしかった。アレンジも味気ないオリジナルに比べて彩りがあって気合いが入っています。これが大ヒットし、一気に売れっ子になります。続く4thシングルもユーロビートのカバー「涙を見せないで〜Boys Don't Cry〜」です。これがユーゴスラビアのムーラン・ルージュという割とマイナーなところから引っ張ってきています。Winkのスタッフは選曲が本当に凄いです。これまたヒットし、次のシングルでは日本人作家による「淋しい熱帯魚」を歌ってレコード大賞に輝きました。権威が堕ちた頃とは言え、無名から一気にレコ大まで辿り着いたのも、やはり、ユーロビートの力と言っても過言ではないでしょう。
「愛が止まらない〜Turn It Into Love〜」
「Turn It Into Love」 カイリー・ミノーグ
「涙を見せないで〜Boys Don't Cry〜」 Wink
「Boys Don`t Cry」 ムーラン・ルージュ
どうですか?日本人はユーロビート好きですよね。私も好きです。ユーロビートには無名の新人や売れないアイドルを輝かせる力がありました。和製ポップスが未熟だった50年代ならまだしも、80年代後半にこれだけカバーされただけでも、いかに魅力的だったか分かります。売れ線狙いのチープなポップスと侮ってはいけません。もう一度ユーロビートの魅力を味わってみて下さい。
それでは、また。
ランキング参加始めました。ワンクリックよろしくお願いします。
私のYouTubeもチャンネルもよろしくお願いします。
新曲公開しました!是非聴いて下さい。
「騒乱節」
「頑張ってって言わないで」
「蒼の輪舞」