ムー大陸です
今回はタイトル通り映画「スティング」の音楽についてです。
「スティング」は1973年公開の映画です。ジョージ・ロイ・ヒル監督、主演はポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード。「明日に向かって撃て!」の3人が再度集まって制作した作品です。
映画「スティング」予告編
簡単にストーリーに触れておきましょう。
レッドフォード演じるフッカーは若き詐欺師です。ある日、彼はルーサーという老詐欺師と組んで大金を騙し取りましたが、それは図らずもギャング組織の金であったため、命を狙われてしまいます。親代わりとも言えるルーサーが殺されてしまい、彼は復讐に立ち上がります。そこで名うての詐欺師ポール・ニューマン演じるゴンドーフに協力を依頼します。そこからギャング相手の一大詐欺プロジェクトが始まります。
恐らく、生涯最高の一本に挙げる人も少なくない傑作中の傑作です。本当に面白い映画で、私も大好きです。映画そのもののエピソードを追いかけたい気もしますが、音楽ブログらしくここはその映画音楽に絞って話を進めます。
映画「スティング」の音楽を担当したのはマーヴィン・ハムリッシュです。あらゆる音楽賞を総ナメした巨匠です。70年代80年代は特に絶頂期で良品多数ですが、個人的には映画「追憶」を最高傑作に挙げたいです。
もちろん彼は最高の作曲家の一人ですが、ただ映画「スティング」の音楽はそれを示すのには相応しくありません。なぜならこの映画においては彼は主に編曲に従事していたからです。
この映画のテーマ「The Entertainer」を含め、使用された多くの楽曲を作曲したのはスコット・ジョプリンです。1890年代後半から1910年代あたりまで活躍した黒人音楽家です。いわゆるラグタイムと呼ばれる音楽であり、その創始者と言ってもいい存在です。当然ながら映画が作られた1970年代には故人でした。
「The Entertainer」 オリジナル・サウンドトラック
映画「スティング」の舞台は1930年代のアメリカ。その時代背景に合わせて監督はラグタイムを....。いや、合いませんね、時代的に。上述の「The Entertainer」は1902年の作品ですし、スコット・ジョプリンは1914年に亡くなっています。何よりラグタイムは1900年代から1910年代あたりに流行った音楽で、映画の舞台1930年代なら間違いなくジャズです、それもビッグバンド、デューク・エリントン、ベニー・グッドマン、カウント・ベイシーあたりが当時の流行でしょう。
私もずっと誤解していました。当時の雰囲気を醸し出すためにラグタイムを使ったと。よくよく考えてみれば、1930年代には全く流行ってないです、過去の音楽になっています。
それでは何故、映画の設定時代に合っていない過去の音楽を引っ張り出したのか?これは監督が使いたかったという事以外に理由はありません。
実は1970年にジョシュア・リフキンというピアニストがスコット・ジョプリンの曲を弾いたアルバムを出しました。リフキン氏は今も存命で、ボストン大学の教授です。つまり、クラシック畑の人です。当時スコット・ジョプリンはほぼ忘れ去られた存在であったので、多くの人に新鮮に聞こえたらしく、このアルバムはクラシック音楽のアルバムの割りにちょっとした話題となりました。それをジョージ・ロイ・ヒル監督も耳にし、映画に使いたいと思ったというのが経緯とされています。
「The Entertainer」 ジョシュア・リフキン
実は私も随分と後になってそのアルバムを聴きました。「Scott Joplin Piano Rags」と言います。私の場合、順序が逆で、映画「スティング」でスコット・ジョプリンを知って、他の曲、他の演奏も聴いてみたくてスコット・ジョプリンの曲が演奏されたアルバムを色々探しました。思いの外少なく、と言うか、殆ど無いに等しく、唯一見つかったのがジョシュア・リフキンのアルバムでした。
私はそのアルバムがきっかけになって映画「スティング」にスコット・ジョプリンが使われたとはつゆ知らず、そのアルバムを聴いて、映画のサントラと異なり割と堅い感じの演奏をやや不満に思っていました。それから更に後になって、そこら辺の流れを知りました。
ジョージ・ロイ・ヒル監督はジョシュア・リフキンのアルバムで耳にしたスコット・ジョプリンを映画に使いました。マーヴィン・ハムリッシュはさすがで、その洗練されたセンスで見事にアレンジし映画にフィットさせました。
すると、テーマ曲「Entertainer」はインスト曲としては異例の米国ビルボードにおいて最高位3位を記録する大ヒットになりました。そして、長らく忘れ去られていたスコット・ジョプリンの音楽は多くの人に感動を与え、再評価されるようになったのです。
映画「スティング」は1974年の第46回アカデミー賞で、最優秀作品賞を含む7部門で受賞、ハムリッシュは編曲・歌曲賞を受賞しました。この映画は作品自体が最高な上に、埋もれていた最高の音楽を陽の当たる場所へ連れて来たという仏様のような作品です。
この映画のサントラは信じられないほどの名作です。主題歌のみならず、「Solace」「Pine Apple Rag」などいずれも名曲です。
「Solace」
「Pine Apple Rag」
是非是非聴いて下さい。
それでは、また。
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「騒乱節」
「頑張ってって言わないで」
「蒼の輪舞」