ムー大陸です
前回に続き映画「ロッキー」シリーズの音楽についてです。
前回は「ロッキー3」でシリーズ化を展望し、娯楽作品へと方針転換を図り始めたと書きました。そして、まだ遠慮がちだった娯楽化は更に進むことになります。一方で評論家筋の評価は落ちて行く、それが一番顕著に表れているのが「ロッキー4/炎の友情」(1985年)です。
「ロッキー4」予告
ソ連の強力ボクサー、ドラゴとの闘いを描きます。友であるアポロがドラゴとの試合で命を落とし、ロッキーが仇を討つという流れですが、全てが大袈裟で荒唐無稽です。その年の最低映画を決めるゴールデンラズベリー賞で圧勝しました。
個人的には「ロッキー4」は最初の「ロッキー」の次に好きです。確かに良質な傑作とは言い難いでしょうが、変に突き抜けていますから、気持ち良く見れます。
音楽的には完全に娯楽一辺倒となった影響でしょう、音楽からビル・コンティの名が消えます。代わりにヴィンス・デコーラが担当します。同氏はホール&オーツのところでキーボードを弾いていたと聞いています。スタローン監督の映画「ステイン・アライブ」で、弟フランク・スタローンが歌った「Far From Over」を作っていますから、その繋がりで採用されたと思われます。
彼の作った劇伴はビル・コンティ程ではないにせよ素晴らしいです。「War」「Training Montage」などは良いです。ただ、それはほんの一部で、80年代の映画らしくサントラは多くのアーティストが持ち寄った楽曲で占められます。
「War」
主題歌は「ロッキー3」と同様サバイバーです。「Burnig Heart」は大ヒットしましたが、ビルボード最高位2位と前作には届きませんでした。でも個人的には「Eye Of The Tiger」より「Burning Heart」を推します。シンガーが代わっているのでヴォーカルの力強さが違います。かなり好きな一曲です。
そして、私は2曲同じような傾向の曲を持ってきたことには重要な価値を見出しています。「ロッキー」シリーズの主題歌という一つのフォームが出来上がったからです。最早、小さいながら一つのジャンルと言ってもいいと思っています。
「Burning Heart」
主題歌以外なら、ジェームス・ブラウンの「Living In America」は必聴です。これもヒットし、ビルボードでは4位まで上がり、JB最後のTOP10ヒットとなりました。他にもジョン・キャファティやケニー・ロギンスもサントラに名を連ねています。娯楽路線で音楽も一変しました。
「Living In America」
興行成績は別にして、決して評価が高くなかったからでしょうか、あるいはシリーズ最後と考えたからでしょうか、「ロッキー5/最後のドラマ」(1990年)では原点回帰を目指します。スタローンは監督を降り、第1作のジョン・G・アヴィルドセンが帰って来ました。音楽もトム・コンティが復活します。従って、音楽も従来のスコアに戻り、派手な主題歌は無くなりました。万全の体制で有終の美を飾ろうとしました。しかし、そう甘い世界ではありません。娯楽路線を捨てたのにもかかわらず、評価は散々でした。
「ロッキー5」予告
ロッキーのパンチドランカー問題、そして引退。ロッキーJr.との親子関係、そして、新チャンプとの確執の末のストリートファイトというストーリー展開ですが、正直スタッフを揃えても一作目のような爽やかさは戻りませんでした。音楽も従来のスコアを使っています。当然、耳馴染みのテーマ曲も流れますが、それだけではどうにもならない出来ですね。むしろサバイバーの派手な主題歌を欲してしまいます。シリーズ中一番面白くないと思っています。
ここでシリーズは完結したと誰もが思いました。何しろ、「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006年)は前作の16年後制作ですから。やはり、前作の失敗が悔しくて、もう一度と思ったのか、それとも人気シリーズの続編でないと企画が通らなかったのか、いずれも動機としてはあるでしょう。ただ多くのファン、映画関係者はさすがに今更ロッキーシリーズでもないだろうと思いました。
「ロッキー・ザ・ファイナル」予告
ところが、これが映画の不思議で、かなりの佳作に仕上がっています。引退して飲食店経営者となったロッキー。エイドリアンは亡くなっていて彼女を偲び静かに暮らしています。そんな彼が現役チャンピオンとエキジビションマッチを、というストーリーです。ロッキーの朴訥とした人物像が戻っています。音楽的にはトム・コンティのスコアを使っていて特に目新しいものはありません。でも、ここには派手な主題歌は似合わなかったでしょう。結果、オリジナルスコアが正解でした。この予想外の傑作によりロッキーシリーズはその名声に相応しい終わり方が出来ました。めでたしです。
まとめると、ロッキーは硬派な作品と娯楽度が強い作品に分かれます。硬派な作品群1、2、5、6作目は最初のビル・コンティのスコアですから、最初の「ロッキー」のサントラを聴きましょう。娯楽色を強めた3、4作目にはサバイバーの主題歌があります。加えてJBの挿入歌、ヴィンス・デコーラの劇伴があるので、「ロッキー4」のサントラを聴いて下さい。嬉しいことに「ロッキー3」の主題歌「Eye Of The Tiger」も「ロッキー4」のサントラに収録されています。「ロッキー」「ロッキー4」、この2枚のサントラを聴けばロッキーシリーズの音楽を聴いたと言って問題ありません。
「The Rocky Story」というロッキーシリーズベストのようなアルバムだと1枚で済むのですが、これは肝心要の「ロッキー」のテーマ「Gonna Fly Now」がオリジナル盤ではありません。避けましょう。
やはり「ロッキー」は良いです。
それでは、また。
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「蒼の輪舞」
「NSA」