ムー大陸です
チャートアクションから過去の名曲を紐解く名曲たちの成績表です。今回はこちらの名曲です、
「Mas Que Nada(マシュ・ケ・ナダ)」
です。
「Mas Que Nada」は今や世界的スタンダードです。1963年ジョルジュ・ベンがブラジルでヒットさせた曲でしたが、1966年セルジオ・メンデス盤によって世界的なヒットとなりました。今回はそのセルジオ・メンデス盤の話です。
ジョルジュ・ベン盤
セルジオ・メンデス盤は多くの名バージョンが存在するこの曲の中でも決定版と言えるものです。アレンジは洗練されていて流麗、女性コーラスも絶妙です。何とも言えないカッコ良さがあります。ボサノヴァの入り口にはこの曲です。私も入門はこの曲でした。
タイトルからも分かるようにこの歌は英語ではありません。スペイン語で「まさか」というい意味のスラングだそうです。もちろん、歌詞は全てスペイン語です。なので、今回は「Mas Que Nada」を追いかけつつ、非英語のヒット曲のチャートアクションについて見ていきたいと思います。
「Mas Que Nada」はイージーリスニングチャートでは4位となり、アメリカでもヒットはしましたが、ある意味それはマニアックな存在だったでしょう。ビルボードの総合チャートでは最高位47位です。何と言いましょう、分かっている人の間では話題になったってとこでしょうか。
この名曲にしてこの結果です。いや、この名曲だからこそ、爪跡を残し、時間をかけてあまねくスタンダードとして定着する事が出来た、大健闘と考えるべきでしょう。
何しろ、アメリカにおいては外国語の歌、ましてやセルジオ・メンデスも当時はまだ無名でした。そもそもボサノヴァという音楽ジャンルがまだ若く、アメリカの一般層にはそれほど認知されていませんでした。いや、この曲が広めたと考えるべきで、そういう事情を考慮するなら、チャートアクション以上に与えた影響は大きかったと思います。
この後、セルジオ・メンデスは映画「007 カジノロワイヤル」の主題歌「The Look Of Love(恋の面影)」やビートルズの「Fool On The Hill」をカバーして、それぞれ4位、6位と遂にTOP10入りを果たします。
「The Look Of Love」
「Fool On The Hill」
もちろん、彼がアメリカマーケットで成功を得たことは喜ばしいですが、ボサノヴァの名曲が最高位47位で、カバー曲がヒットというアクションには悲しさがありますね。逆であって欲しいです。もし仮に、発売順が逆だったら、つまり、英語歌カバーで名を売ってからのボサノヴァならまた違っていたかも知れません。
いずれにせよ、非英語の歌にとってアメリカチャートは非常に冷たい高い壁です。そんな無慈悲なマーケットで非英語ながら1位に輝いた曲が、ロック誕生以降70年近い歴史の中で10曲
あります。ただ、10曲のうち6曲は英語が混ざっており純粋に非英語とは言えません。つまり、本当に非英語オンリーで1位となったのは4曲だけです。正に片手で数えられるほどの難易度です。
世界で最初に外国語としてビルボードチャートで1位に輝いたのは1958年の
「Volare(ヴォラーレ)」です。
ドミニコ・モドゥーニョが歌いました。今ではジプシー・キングスのカバーで日本でも耳馴染みでしょう。これはイタリア語でしたが、ヨーロッパで賞を獲得したこともあってアメリカでもヒット。5週間1位になりました。
そして、その次は1962年の「Sukiyaki」です。
ご存知、坂本九氏の「上を向いて歩こう」を改題して発売、3週間1位となりました。確かに日本でも名曲とされていますが、それは歌詞込みでしょう。アメリカでは随分とメロディが気に入られているようです。
さて、続く3曲目は「Dominique(ドミニク)」という曲です。
これはフランス語の歌で、修道女が歌ったという事で当時話題になって人気沸騰、4週間1位となりました。アーティスト名はザ・シンギング・ナンです。正直、今聴くと何が良いのか分かりません。
そして、4曲目は「La Bamba(ラ・バンバ)」です。
元々はメキシコ民謡です。それをメキシコ系アメリカ人のリッチー・バレンスがロックアレンジして歌いました。そのリッチーの伝記映画「ラ・バンバ」の主題歌としてロス・ロボスが歌ったものが映画とともに大ヒット。1987年に3週間1位となりました。
修道女の歌は特殊かも知れませんが、他の3曲はスタンダード化して、オリジナル以外にもヒットがあって複数回チャートインしています。歌詞が分からなくてもメロディにフックがあるってことでしょう。まぁ、「Sukiyaki」のカバーは英語ですけど。
ちなみに、英語が混ざっていて純粋には非英語ヒットとは言えない残りの6曲は、ファルコの「Rock Me Amadeus」(ドイツ語)、ロス・デル・リオの「Mscarena(Bayside Mix)」(スペイン語)、ルイス・フォンシ&ダディ・ヤンキーfeat.ジャスティン・ビーバーの「Despacito」(スペイン語)、他3曲はBTS関連ですね、韓国語と英語のミックス。「Life Goes On」「My Universe」「Like Crazy」。英語、非英語混合は新しめが多いですね。
確かにセールスを重点に考えたら、多くの人に届きやすい英語で歌えば良いのです。昨今のBTSの戦略とか正にそうでした。外国語の歌がアメリカでヒットするのは、つまるところ、元々アメリカで売るつもりではない曲がたまたま何かの巡り合わせで1位になる、そういう事だと思います。
「Volare」はイタリア、もっと言えばヨーロッパあたりをマーケットとして想定していたでしょう。「上を向いて歩こう」なら分かりやすいですよね。最初から世界を狙っていません。日本でのヒットを狙っていただけです。「La Bamba」はそもそも民謡です。つまり、これらの商業的成功はどれもおとぎ話のようなものです。
「Mas Que Nada」に話を戻しましょう。
こちらの場合はもう少し現実路線を感じます。地味でもいいから、小さくてもいいからアメリカマーケットで成功を掴むきっかけをという作戦が伺えます。一方で英語で歌えないのは当然です、ボサノヴァですから。ここを譲ってはいけません。よく分からない運などではなく一歩ずつ進んでいったとしたら、最高位47位、イージーリスニングチャート4位でした、結果も現実路線なんでしょうが、これでも想定した掴み得る成功と考えるべきだし、1位に輝いた4曲よりずっと地に足が着いています。おとぎ話が無くても最後には世界の名曲になりました。
それでは、また。
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