ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

洋楽至上主義23〜「Love Me Tonight」

ムー大陸です

 

私のお気に入りの洋楽をオススメする洋楽至上主義のコーナーです。今回は、

 

 

「Love Me Tonight」

 

 

を取り上げます。

www.youtube.com

 

トム・ジョーンズは不思議な歌手です。

ローリングストーン誌の「偉大な歌手ランキング」で71位に選ばれていますし、偉大な歌手には間違いないのでしょうが、中々そう割り切れないところがあります。こうしてわざわざ取り上げるくらいですから、私自身もトム・ジョーンズを敬愛してるのですが、彼の特徴を挙げていくと、何やら悪口を言っているようになるのです。

 

例えば、60年代から70年代にかけて彼のステージ衣装はタキシードが主で、コンサートよりディナーショーが似合うイメージです。60年代、ビートルズストーンズのようなロックバンドが最先端だとするなら、彼のようなスタイルは時代遅れと言わざるを得ません。もちろん、あの手のタイプはいつの時代にも一定数いるものです。フランク・シナトラがその代表格で、60年代にはまだまだ彼は大活躍していました。では、彼は時代遅れなのか?と問うと、そう言えなくはないと思いますが、彼はそういう流行を超えた存在と考えた方が妥当でしょう。彼のようなクルーナーと呼ばれる歌い方(一般的にはモゴモゴ歌うと言いますが、どちらかと言うと、「余裕のある歌い方」という感じ)の歌手はその所作や節回し、歌詞の変更などが小粋で、ロック全盛期にあってもそのカッコ良さは揺るぎませんでした。60年代当時も「Stranger In The Night(夜のストレンジャー)」をはじめ多くのヒットを生んでいます。

 

一方、同じ時代遅れ一派のトム・ジョーンズですが、彼は正直、小粋とは無縁です。彼の歌は声量があるし、実にダイナミックです。ただ、多少、いや、かなり、しつこいです。脂っこいです。時代遅れ一派にはクルーナーが多いですが、彼は絶唱タイプです。その点も相当に野暮ったさがあります。その上、その所作ときたら、過剰に腰をくねられせてセックスアピールに余念がありません。彼の衣装はタキシードと言いましたが、カジュアルな場合は胸がはだけたシャツだったりします。ある程度そういう対象としてファンは見ていたのは間違いないでしょうが、やはり、そこは下品と言わざるを得ません。

 

どうでしょう、もう一度言いますが、私はトム・ジョーンズを敬愛しているのです。ただ、それでも私が彼について書いたことは「時代遅れ」「野暮」「下品」です。

そして、私が今回選んだ曲は「Love Me Tonight」です。彼の代表曲の一つで、ベスト盤には必ずセレクトされる一曲ではありますが、シングルでもありませんし、ヒットもしていません。ただ、彼の上述したような「時代遅れ」で「野暮」で「下品」な歌が最もマッチしたベタな歌なのです。哀愁漂うメロディに、大袈裟なコーラス、図ったようにサビでメジャーに展開するアリアリ感、何と言っても歌詞「今夜私を愛して」という捻りも何もない露骨な言い回し。これをトム・ジョーンズが歌うと全てが輝きを増します。例えば、彼のヒット曲「It's Not Unusual(よくあることさ)」や「What's New Pussycat?(何かいいことないか、子猫ちゃん?)」などは、ちょっと彼には小粋過ぎるように思うのです。歌いこなせていないというか、何故そんなに強く歌うんだよと感じます。もっと言うなら、シナトラだったら、もっと素敵に歌えたではと、失礼ながら思えてしまい

ます。

「It`s Not Unusual」

www.youtube.com

「What`s New Pussycat?」

www.youtube.com

「Love Me Tonight」は違います。シナトラにこれを歌わせたら、意味なく小粋になってしまいます。これはベタで聴く歌。トム・ジョーンズの為のような一曲です。

とは言え、これは彼の為に書かれた訳ではありません。カンツォーネのカバーです。原曲はジュニア・マッグリの「Alla Fine Della Strada(恋の終わり)」と言います。

www.youtube.com

原曲も雰囲気は一緒ですが、もう少しアップテンポです。カバーにもかかわらず、このフィット感は驚きです。音楽評論的には徹底的に馬鹿にされそうな時代錯誤な楽曲かも知れませんが、それ故にこういうのも守っていきたいと私は思います。

結構、昭和の歌謡曲を感じると思います。おそらく、元ネタの一つになっているでしょう。すぐに思いつくところでは、例えば、布施明氏の「甘い十字架」あたりなんかかな。

www.youtube.com

さて、彼のヒット曲の多くは60年代後半から70年代前半に集中しています。彼が単に「時代遅れ」で「野暮」で「下品」な歌手だったら、そこから彼の人気は衰えて、過去のスターになったことでしょう。でも、彼はその後も活躍を続け、今なお偉大なミュージックアイコンとして輝き続けています。いや、恐れ入ります。

 

同時代に活躍した同じような時代遅れ一派の歌手、エンゲルベルト・フンパーディンクやアンディ・ウィリアムズなどは過去の人と認識しています。いや、それは悪いことじゃありません。一時期人気があって、時代が変わり忘れられていく、流行歌手ですから、それが普通です。トム・ジョーンズは輝き続けています。彼が時代に合うようになった?いや、「時代遅れ」のままです。彼は小粋になったのか?いや、「野暮」で「下品」なままです。それでも一周回ってそれがカッコよく見えるようになってしまったのです。実に不思議な歌手です。他にこんな歌手見たことありません。時代の最先端で人気、カッコいいから人気、小粋だから人気、品があるから人気っていう歌手はたくさんいます、って言うか、それが普通です。結局、彼のカッコ悪さは個性として認められ、今では大変貴重なオンリーワンになったのです。

彼がカバーしたプリンスの「Kiss」、これはもう衝撃的です。

www.youtube.com

「Kiss」  プリンス

www.youtube.com

彼の「野暮」「下品」はプリンスとぶつかっても砕けません。中でもあの「Kiss」は難度が高いはず。それを真正面から彼のままで歌っています。これを聴くと、「ああ、一周回ったな」と改めて感じます。もちろん、サウンド面でのアート・オブ・ノイズのバックアップあっての話ではありますが、要は彼の個性はプリンスのそれにも引けを取らないと分かったのです。今まで彼のアクの強さを感じ、必ずしも良いとばかり言えないと感じていましたが、プリンスという偉大な比較対象を得て彼の評価にも影響があった、言うなれば、トム・ジョーンズの偉大さに多くの人が気が付いたのではないでしょうか。なるほど、プリンスも品がいいとは言えません、まぁ、野暮ではないですが。ならば、トム・ジョーンズも十分アリだということです。

日本においては独自のヒット「If I only Knew(恋はメキメキ)」が有名です。テレビ番組に使用され人気になりました。これもなかなか良い味です。彼のベスト盤は宝の山です。

www.youtube.com

それでは、また。

 

ランキング参加始めました。ワンクリックよろしくお願いします。

 

私のYouTubeもチャンネルもよろしくお願いします。

www.youtube.com

 

「I Sing」

 

www.youtube.com

「ノンフィクションロード」

www.youtube.com

「旅立ち」

www.youtube.com