ムー大陸です
私のお気に入り洋楽を紹介する洋楽至上主義のコーナーです。今回はこの曲、
「It Never Rains In Southern California(カリフォルニアの青い空)」
です。
これはアルバート・ハモンドの1972年のヒット曲です。ビルボードのヒットチャートでは第5位まで上がりました。彼の唯一のTop10ヒットです。アルバート・ハモンドの名前聞き覚えがありませんか?そうです、ザ・ストロークスのアルバート・ハモンドJrのお父さんです。
この曲は実にメロディアスで、日本人好みのポップスですが、評論家筋にあまり評判が高くないようです。ローリングストーン誌では「アルバート・ハモンドには大した作品とは思えない『南カリフォルニアには決して雨が降らない』のヒットがある。彼はきっと雨の多いスペインの平原を想像してこの曲を書いたに違いない」と酷い言われようです。
でも、私は大好きです。確かにアレンジ面では多少雑な感じは否めませんが、やはり、メロディはキャッチーですし、イントロからしてフックがあります。こういうロック色の薄い典型的な70年代ポップスを人に勧めていきたい。大体、こういうのは音楽評論上はゴミ扱いですから、重点的に名誉挽回をしていきたいのです。
ただ、「カリフォルニアの青い空」って邦題はダメですよね。上述のように直訳すると、「南カリフォルニアには雨が降らない」というタイトル。これは「南カリフォルニアには雨が降らないと聞いていたけど、実際には雨だらけ、大雨だよ」という嘆きなんです。もちろん、本当に雨が降っているのではなく、比喩です。厳しい人生、苦しい心を歌ったシビアな内容です。吉田拓郎氏の「たどり着いたらいつも雨降り」のような感じでしょう。ですから、美しくキャッチーなメロに似合わない歌詞という侮り難い風格があると思います。
日本ではこの曲に加えて「For The Peace Of All Mankind(落葉のコンチェルト)」もヒットしました。これは日本だけのロングヒット。やはり、日本人好みなんでしょう。まぁ、これも邦題には辟易しますが。
「For The Peace Of All Mankind」
加えて、日本のみの話題で言うと、「It Never Rains In Southern California」って堺正章氏の「さらば恋人」に似ていますよね。「さらば恋人」は筒美京平氏作曲。筒美氏は職業作曲家のプロ中のプロ、洋楽のヒット曲が、半年以上経ってそのメロディが浸透した頃を狙って、巧みに取り入れるのが得意です。
「さらば恋人」
ですから、よく「さらば恋人」は「It Never Rains In Southern California」をパクったなどと言われる事がありますが、それは誤解です。「さらば恋人」は何しろ1971年のヒット曲です。そちらが先なんです。
では、アルバート・ハモンドの方がパクった可能性はあるのでしょうか?今のようにYouTubeもAppleMusicもありませんからね、アルバート・ハモンドが「さらば恋人」を聴いた可能性は低いと思います。私的に来日した際に入手したかどうかは分かりませんし、まぁ、偶然似ていたと思う事にしましょう。
また、こちらは正式なカバー、南沙織氏バージョンがあります。
う~ん、どうでしょうね。日本語カバーならまだ分かりますが、英語カバーですからね、オリジナル聴けばいいと思います。B面もカバー、カウシルズの「雨に消えた初恋」です。その曲のアレンジはなんと筒美京平氏でした。何故かA面「カリフォルニアの青い空」は筒美氏ではなく穂口雄右氏なんですよね。筒美氏に頼んで、わざと「さらば恋人」に似せたら面白かったんですけど。
さて、彼はイギリス人ですが、アメリカに移住し、アメリカを主戦場として活動していました。彼自身の名義では最高位5位のこの曲が最大のヒットですが、ソングライターとしてはより大きなヒット、名曲を作り上げています。先ず、全米1位を獲得したレオ・セイヤーの「When I Need You」の作曲。
これも1位、スターシップの「Nothing's Gonna Stop Us Now(愛はとまらない)」の共作者です。映画「マネキン」の主題歌です。好きですね、映画も曲も。
また、カーペンターズの名曲「I Need To Be In Love(青春の輝き)」も彼の提供です。
個人的にはかなり優秀なソングライターと思っています。それに10年以上のスパンで大ヒットを出していますから、そんなにいないレベルと言ってもいいでしょう。なので彼自身の唯一の大ヒットもしっかり評価されるべきと思います。ポップスはロックより評価されない、その一人だと思っています。皆さんも楽しんで下さい。
それでは、また。
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新曲公開中です!是非聴いて下さい♪
「カラキリクルコロ」
「下剋上」
「春に死のう」