ムー大陸です
私のお気に入り洋楽をレコメンドする洋楽至上主義のコーナーです。今回のテーマは、
「Breakfast In America」
です。
これはスーパートランプの1979年の大ヒットアルバム「Breakfast In America」のタイトル曲です。スーパートランプというバンドはwikiなどによれば、プログレッシブロック色のポップロックと説明しています。確かにメンバーには当時様々なプログレ人脈があったようです。リーダーのリック・デイヴィスはスーパートランプ一筋だとしても、中心的メンバーだったロジャー・ホジスンはイエスのヴォーカリストに内定した事があると言います。このアルバム当時のメンバーだったジョン・ヘリウェルもシン・リジィやピンク・フロイドのアルバムに参加した経歴があります。
元々、リック・デイヴィスがメンバー募集を行い、バンドを結成した当時は、プログレ色のポップロックと言うより普通のプログレを目指していたのかも知れません。しかし、売れるためにポップロック路線に舵を切った、そんな印象を受けます。
今日のテーマである「Breakfast In America」はとても美しい曲です。ハイトーンのヴォーカル、サックスの響きが切なく、哀愁漂うサウンドとメロディです。個人的には不滅の名曲の佇まいを感じてしまいます。もちろん、この名曲をブログで紹介するために取り上げた訳ですが、今日はこの曲についての気になる点を考えながら話を進めたいと思います。
気になる点というのは、
「なぜシングルカットされなかったか?」
はい、これです。アルバムが大ヒット、彼らにとって初の全米1位を獲得したのには色んな理由があると思います。グラミー賞を獲得した個性的なレコードジャケットなんかも話題になりました。売上にも貢献したでしょう。
でも、もちろん、最大の理由は彼らのサウンドが支持された、それも彼らのアルバムから感じる独特の哀愁、あれにやられたんだと強く感じます。そして、このアルバムで最もあの哀愁漂う雰囲気を醸し出しているのはこの曲に他なりません。だとすれば、真っ先にこの曲をシングルカットしてもおかしくなかったのではと疑問に思うのです。
ファーストシングル「The Logical Song」はヒットし、彼らにとって初のTOP10入りを果たしたので、その選択は間違ってなかったと考えられます。ただ、「Breakfast In America」がシングルカットされたイギリスではTOP10ヒットになってます。イギリスではアルバムは最高位3位です。私には、アメリカでこの曲をシングルカットしていたら、シングルでも1位になったのではないか、そんな風に思えて仕方がないのです。ちょっと贔屓が強いですけど。
「The Logical Song」
なぜシングルカットしなかったのでしょう。そこは想像するしかないですが、上述のプログレ色のポップロックに話が戻ります。このバンドの音楽的な中心メンバーは二人です。先ずは、このバンドを結成したリック・デイヴィス、もう一人がロジャー・ホジスンです。このバンドの当初からの方向性であるプログレな一面を牽引していたのがリック、一方、ポップな路線を担っていたのがロジャーでした。もちろんこれらが融合してスーパートランプのサウンドが出来上がっていた訳ですから、どちらが良い悪いではないのですが、リックはバンドがポップに流れ過ぎるのをあまり快く思っていなかったようです。
彼らの1974年のヒットアルバム「Crime Of The Century」を聴くと分かりますが、随分とプログレ寄りです。「Breakfast In America」みたいなのを期待して聴くと、ちょっとガッカリするかも知れません。逆に、リックにはあの程度のポップが適量だったのでしょう。ファーストシングル「The Logical Song」もかなりポップに思えますが、ほんの少しだけロックな感じはあるかな。
「Breakfast In America」の作曲者のクレジットは1979年当初はリック、その後、リックとロジャーの連名に変更となっているようです。しかし、過去のインタビューなどから推察すると、この曲はロジャー・ホジスンが19歳の時に書いた作品で、レコーディングの際に、殆どリックは関わっていなかったと考えられています。その上、リックはこの曲を嫌っていたとも言われており、どうやらそこら辺の思いがアメリカでのシングルカットを阻んだのではと考えています。
実は1981年になって、この曲のライブバージョンがシングルカットされましたが、機を逸していたのでしょう、最高位62位という結果に終わっています。もう一度言いますが、ファーストもしくはセカンドシングルとして発売したら、全米1位も夢じゃなかったと思います。
こうした経緯を裏付けるように、次のアルバム「Famous Last Word」の後、ロジャー・ホジスンはバンドを脱退します。このアルバムからのシングル「It's Raining Again」もポップでいい曲でした。あれは問題じゃなかったのか?やはり、「Breakfast In America」が嫌いだったのかな。
「It`s Raining Again」
結局、ロジャーを失ったバンドは人気が衰え、1988年に解散しました。その後、再結成を果たしますが、ロジャーは戻っていません。彼の音楽性がスーパートランプの音楽に不可欠だとするならば、スーパートランプが戻ることは無かったと考えるべきでしょう。
一方で、ロジャーのソロが成功したかと言うと、やはり、スーパートランプの頃の輝きを取り戻すことは出来ませんでした。リック無しで彼の音楽性だけでもスーパートランプにはなれなかったのです。不思議なものです。
スーパートランプはもう帰って来ない、そういう状況だからでしょうか、2005年にベスト盤が発売されると、全英アルバムチャートのTOP10に入りました。彼らのファンは根強いですね。また、新しいファンも獲得していて嬉しいです。いいものは時代を超えます。
それでは、また。
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「NSA」
「下剋上」
「春に死のう」