ムー大陸です
過去の名曲をヒットチャートのアクションから紐解く名曲たちの成績表です。今回は、
「Like A Rolling Stone」
です。
偉大なアーティストなのに、あるいは、ヒット曲はたくさんあるのに、NO.1ヒットには恵まれない。そんなアーティストがいます。
例えば、ジェームス・ブラウン、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(以下CCR)、そして、何と言っても、本日のテーマであるボブ・ディランです。
ヒットはあるのに1位にはなれない。それには色々理由があるでしょう。ジェームス・ブラウンの場合、30を超えるTOP40ヒットがあるんです。ただ、R&Bチャートでは1位になるけど、ナショナルチャートではならない。中ヒット、小ヒットが多い。これは彼の斬新なスタイルが万人受けするものではなかったのが大きいですが、60年代の時代性もあるでしょう。黒人への差別も影響していると思います。ここは単なる推測なんですが、プロモーションとかに限界があったかも。レイ・チャールズもレコード会社変えて、チャートアクション良くなりましたし。
CCRはシングルヒット連発したバンドですが、2位止まりが多いんです。これは巡り合わせでしょうか。不運としか言いようがない。
ボブ・ディランをチャートアクションから分析するのは実に愚かなことではありますが、お付き合い下さい。TOP40ヒットが全10曲、TOP10ヒット全4曲、1位獲得は無く、最高位2位の曲が2曲。その内の1曲が本日のテーマ「Like A Rolling Stone」です。彼の最大のヒットです。もちろん、彼は今も現役ですから、今後大ヒットを飛ばす可能性が無いわけではありません。また、彼自身の名義では1位を獲得していませんが、バーズがカバーした「Mr.Tambourine Man」が1位になっています。この「Like A Rolling Stone」もビルボード誌では最高位2位でしたが、今は亡きキャッシュボックス誌では1位になってます。
さて、本日のテーマ「Like A Rolling Stone」について話しましょう。ウィークリーチャートでは1位を獲得出来なかったこの曲は、ローリングストーン誌が選んだ「オールタイム最も偉大な曲500」の第1位になっています。オールタイムの1位です。これまで発表されたあらゆるポップソングの中で最も偉大な曲。すごい評価です。
理由はいくつも考えられます。発表された1965年当時、フォークの貴公子だったボブ・ディランが弾き語りから大きく進化、オルガンを取り入れた新しいサウンドを作り上げた。今聴いても色褪せていません。
一方、歌詞はそれまでの作品同様、いや、それ以上に舌鋒鋭く、社会を看破し、それを独特な節回しで歌います。1960年代という価値観が大きく変化した時代を描いた内容は絶品で、既得権者たちへ「石ころのように扱われるのはどんな気分だい？」と尋ねるフレーズは痛快です。そして、見事な語彙選択で執拗に韻を踏みます。あの歌詞の主張と響きが両立する凄さ。時代性、社会性、芸術性、それより何よりポップソングとしてのカッコよさにより偉大な曲1位になったと思います。
では、いったいそんな名曲が何故ビルボード誌では1位にならなかったのか？
これまた色んな理由があると思います。そもそも彼の場合アルバムが評価されるアーティストですから、シングルヒット向きじゃない。
フォークの貴公子でも、アイドル性は薄い。何も社会性や芸術性を求めるリスナーばかりじゃありません。また、当時としては画期的で、6分と曲が長い。
あるいは、独特の節回しと言えば聞こえがいいですが、好き嫌いが分かれるところではあります。つまり、利点と思われるところもヒットチャート上では欠点にもなり得るのかも知れません。
ただ、「Like A Rolling Stone」に関して言えば、実は理由は明確です。この曲は1965年9月4日とその翌週付2週間に渡って2位を記録しましたが、その時の1位がビートルズの「Help」だったのです。
人気絶頂の彼らがディランの行手を阻んだのでした。やむを得ないところです。逆につまらない曲に邪魔されたのなら悔しく思いますが、歴史的名曲同士のバッティングならむしろ良かったと思います。ちなみに1965年9月4日のTOP3、1位「Help」、2位「Like A Rollling Stone」、3位には何とビーチボーイズの「California Girls」が入っています。いやぁ、凄いTOP3ですね。「California Girls」が3位止まりだったのはそういう訳なんですね。3曲並べて聴いてみるのも面白いかも知れません。
それでは、また。
新曲公開中です！是非聴いて下さい♪
「下剋上」
「春に死のう」
「あやかし」
