ムー大陸の音楽探検

ボカロP・ムー大陸が紹介する音楽のアレやコレや

私の愛した郷ひろみ①

ムー大陸です

 

日本のシンガーで一番好きなのは誰か?と問われたら、私は迷わず答えます。

それは、郷ひろみであると。

 

日本にも素晴らしいシンガーが数多くいます。はっぴいえんど系の大瀧詠一山下達郎、あるいは国民的バンド、サザンオールスターズのヴォーカル桑田佳祐、日本のディーヴァ系統、ドリカムの吉田美和MISIA、はたまた、吉田拓郎井上陽水矢沢永吉といった歴代の猛者たち。それとも、女王・美空ひばりか。いや、そうしたシンガーすべてより私は郷ひろみを上に置きます。

ただし、一つ条件があります。デビューから2年間の郷ひろみ、これです。

 

デビューから2年間の郷ひろみは最高でした。日本のどんなシンガーより魅力的でした。もちろん、歌唱力において最高であるわけではありません。むしろ上手くはありませんし、現在の彼の方が歌唱力はあるでしょう。しかし、そんなことが問題にならないほどに当時の郷ひろみは輝いていました。この世に二人といないシンガーであり、そして、もう2度と現れないと思います。もちろん、郷ひろみは現役のシンガーなので、2度と現れないというのは変ですが、現在の彼、というよりは3年目以降の彼でさえ、デビューから2年間の輝きを蘇ららせることは不可能なのです。

 

では、そのデビューから2年間の彼の魅力とは何でしょう?

大まかに言って3つあります。

①彼のルックス

1972年デビュー当時彼は16歳でした。彼はいわゆる美少年系のアイドルで、中性的な雰囲気を漂わせていました。同じ新御三家である西城秀樹野口五郎がより男性的で、好青年なイメージだったのに対し、彼は正統派の美少年でした。1972年といえば、デヴィッド・ボウイが「ジギー・スターダスト」を出した年です。世界的に中性的な魅力のボウイが人気となり、グラムロックが勃興しました。アイドルとグラムは紙一重です、ベイ・シティ・ローラーズも海外ではグラムに入りますから。正に彼は日本のグラムロックであり、その魅力はデヴィッド・ボウイマーク・ボランに決して劣るものではないと断言します。

②彼の声

彼の声は独特です。鼻にかかったような声で、他にはあまり似た人もいません。彼のこの声はシンガーとしての彼の財産です。それは今も同じではありますが、ヴォイストレーニング等を積み重ねることによって、その声の特徴はある程度中和されているでしょう。というのも、デビュー当時の彼はそうしたトレーニングが十分でないために、ほとんどしゃべり声に近い形で歌っていました。彼の独特な声と美少年のルックスにある種のギャップがあり、それがこの上ない魅力でした。その上、幼さが加わり、やや舌足らずで、軟弱な感じ(誉めてます)が最高でした。今以上に独特の声が際立っており、それも二人といないシンガーの要素となりました。歌は正直お世辞にも上手いとは言えません。ただ、上手く歌ってしまっただけでも失われる魅力もあるのだと考えて下さい。歌の拙さもこの時期の彼の魅力を引き出す条件の一つだったと思います。

筒美京平の楽曲の良さ

これは直接彼の力ではないのですが、この要素は欠かせません。デビュー曲から彼に楽曲を提供し続けたのは職業作曲家・筒美京平でした。作曲家として日本一の売り上げを誇る筒美氏ですから、名曲は多数ですが、その中でも郷ひろみの作品群は秀逸なものが多いです。筒美氏が後年、小沢健二に「強い気持ち・強い愛」を書いた時、初期の郷ひろみを思い出したとコメントしていたと記憶しています。このコメントから察するに、筒美氏においても「初期の」郷ひろみは特別だったのでしょう。個々の楽曲については後述します。

ただ、もう一つ。筒美氏が郷ひろみの歌手活動の方向性を決めるわけではありません。それはプロダクションなりレコード会社なりが決める。それに基づいて筒美氏に楽曲制作のオファーが来て、筒美氏は職業作曲家として、そのオファーに応え、形にするのです。なので彼が書いた楽曲が当時のチームの方針であり、郷ひろみの活動を分析するのに大いに役立つと思います。作詞は岩谷時子です。作詞の内容もチームの方針により決まるものでしょうから、こちらも同様です。

 

上記3つの要素が混然一体となって、デビューから2年間の郷ひろみの魅力を作り上げたのです。しかし、彼もプロである以上、歌手としての実力を上げていくため訓練も努力もし、大人の歌手へと脱皮していくことが求められる。そうでなければ、歌手を続けていけない。いつまでも歌が拙いことも魅力などと言ってはいられない。いや、それ以前に彼も少年から大人の男へ成長するのであって、いつまでも美少年というわけにはいかないのだ。結果、彼は努力をし、現在の地位を築いたのだが、それはデビューから2年間に持っていた魅力を捨てるのと引き換えに手に入れたものだとも言える。だから、今尚彼が歌手を続けていても、それは帰って来ないし、再現することも出来ないものだ。デヴィッド・ボウイがベルリンの生活で声を壊し、グラム時代の声の高いボウイが二度と帰って来ないのに似ているかもしれない。ただ、郷ひろみの場合は成長して別なものを得ているから、むしろ、ジャクソン5の頃のマイケルは二度と帰って来ないが、大人のマイケル・ジャクソンが登場したという方が近いかな。

 

それでは、その2年間について具体的に作品で追いかけています。

ですが、それは次回ということで。

それでは、また。

 

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